最終日、ドキドキの授賞式
【5月23日(土)】映画祭12日目。今日でカンヌ映画祭も終わり。最終日はコンペ作品を会場内の5つの劇場を使って一挙上映するので、見逃した作品を観まくる。そして3時に外部団体の賞である、FIPRESCI賞とエキュメニカル審査員賞(キリスト教徒審査員による人道映画賞)が発表に。コンペ部門はどちらもクリスチャン・ムンジウの『フィヨルド』。実は私も所属している批評家団体FIPRESCIから選ばれた審査員は先鋭的なものを、エキュメニカルはヒューマニズム重視の傾向が強いので重なることは少なく、これは夜に発表の授賞式でも何らかの賞は取るはず。ただしパルムとあまり被らないのが通例。ということは、私の推し『急に具合が悪くなる』の可能性が高まったか? でもグランプリか、監督賞かも、などと勝手にドキドキする。そして本番の授賞式は、私たちプレスは会場のルミエール大劇場ではなく、基本的にドビュッシー劇場のスクリーンか、記者会見場の大きめのモニターで観るか、の二択なのだが(テレビ中継されているから宿でも見られる)、受賞会見の良い席をキープするため記者会見場を選択。賞の可能性がある作品の関係者には、当日「授賞式にお越しください」とだけ案内があるそう。だからレッドカーペットに登場した段階で、その作品が何かは取れることがわかるのだが、中継を見ていたら、レッドカーペットに『急に具合が悪くなる』チームが登場した!
私はかつてムービープラスでカンヌからの生中継を担当していて(今は日本では放送がなくて残念)、パルムドール予想で「ポン・ジュノ!」と叫んで『パラサイト 半地下の家族』の受賞を当てたことがあるのだが、今年だったら「濱口竜介!」と叫んでいたはず——結果、最高賞パルムドールは『フィヨルド』。ムンジウは2007年の『4ヶ月、3週と2日』に続く2度目のパルムで、ケン・ローチらに続く10人目のダブル・パルム・クラブ入り。次点のグランプリは『ミノタウロス』。『急に具合が悪くなる』は主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒の女優賞となった。すごく良い結果なんだけど、濱口さんに何かあげたかったなあ。でも受賞者会見で、記者席に座った濱口さんがニコニコ顔で彼女たちをスマホで撮影しているのを見て、とても嬉しい気持ちになった。

