例年になく肌寒い南仏カンヌ。これも気候変動のせいなのか……朝から晩まで駆け回る日々の中、マダムアヤコの体調に異変が? 映画評論家・石津文子の怒涛のカンヌ日記、第2回!(全3回の2回目/3回目を読む

[黒牢城』上映。(左から)黒沢清監督、本木雅弘、宮舘涼太(撮影:筆者)

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『急に具合が悪くなる』公式会見の長塚京三さん

【5月16日(土)】映画祭5日目。相変わらず肌寒い。朝8時半から特別上映のスティーブン・ソダーバーグ『ジョン・レノン:ラスト・インタビュー』。ジョンの最後のインタビューと言われるものはなぜか複数あるのだが、これは死の数時間前にダコタハウスで行った、ラジオのインタビュー。ジョンの言葉に加え、どれほどオノ・ヨーコが理知的で卓抜した人間なのかがわかる。ジョンが当時人気絶頂だったバート・レイノルズの「自分は女性に捨てられる側」と言う言葉を参照して、ヨーコに捨てられていた時代(いわゆるロスト・ウィークエンド)のことを振り返るところが特に面白い。ただ、AIの映像はいらない。Metaが製作のせいなのだろうが。

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 10時15分、『急に具合が悪くなる』公式会見。キャストと監督の入場をプレスが手拍子を鳴らして迎え、活発に質問が飛ぶ。濱口さん、カンヌに愛されているなあ。長塚京三さんが、濱口監督との仕事はお世辞ではなく勉強になりました、と。ただ、81歳の自分がその学びをあとどれくらい活かせるのか、と少し寂しそうに言ったのが印象に残った。映画の中と外のワークショップについて私も質問。監督は「振付家でダンサーの砂連尾理(じゃれお・おさむ)さんに指導してもらいました。体や動きを通してその人が出てくる。そして元々は書簡集でしたが、それをワークショップを通して表現しました」とのこと。業界誌SCREENの星取表でも3.1と高評価。『ファザーランド』は3.3。

『急に具合が悪くなる』公式会見(撮影:筆者)

 そして15時、大劇場ルミエールで是枝裕和監督の『箱の中の羊』。とても近い未来、子供を事故で亡くした夫婦が息子そっくりのヒューマノイドと暮らすことに。街では「ハーメルンの笛吹き」を思わせる、子供たちの失踪事件が起きている。子供との関係性を色々と考えさせられるが、そもそも生まれなかった子供は子供の数に入るのだろうか? 出産までたどり着けなかった経験がある者として、考え込んでしまう。

 夜22時、コンペ作品『PAPER TIGER』。カンヌの常連、ジェームズ・グレイお得意の、80年代、ニューヨーク、のっぴきならぬ事態に巻き込まれる兄弟、という三題噺。正直、アダム・ドライバーの演技とカメラワーク以外は特に引き込まれなかった。だが周囲の反応は悪くない。