黒沢清監督へ飛ぶアイドル並みの黄色い声援

【5月19日(火)】映画祭8日目。朝7時にオンライン試写予約を取り、FIPRESCI担当者に齋藤さんの訃報を伝える。体調を優先して午前中は予定を入れず、少し原稿書きをしてから、14時半からアンドレイ・ズビャギンツェフ『Minotaur(ミノタウロス)』。ロシアのどこかの街で起きる不倫きっかけの殺人。実業家の夫の美しすぎる妻はプレイボーイの写真家と浮気中、とどこか観たことあるような展開だと思ったら、オリジナルはクロード・シャブロルの『不貞の女』。リチャード・ギア主演の『運命の女』としてアメリカでもリメイクされているが、今回の舞台はロシア。とんでもないことが次々と起きる恐ろしい映画になっている。実業家の夫はウクライナとの戦争のため社員を次々と徴兵され困っているが、これを利用して事件の隠蔽を図るのだ。チャップリンの『殺人狂時代』の名台詞「1人を殺せば悪人だが、100万人なら英雄だ」を思い出してしまった。前作『ラブレス』も人間の冷酷さに迫っていたが、これまた背筋が凍るような面白さ。『急に具合が悪くなる』の強敵になるかも。

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 続けてコンペ作品のスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル『Bitter Christmas』。映画監督が、助手の女性の実生活をもとに脚本を書き、映画と現実が入り乱れる、実にアルモドバルらしい映画。「福音派のカルト映画でも撮ってるの?」というジョークが出てくるのだが、前日の『フィヨルド』と繋がっていて大笑い。賞には絡まないだろうけど、ケレン味があって楽しめた。