季節外れの寒さのせいか、体調を崩してしまったマダムアヤコだったが、釜山映画祭のスタッフと女子会をしたり、濱口竜介監督とばったり出会ってツーショットを入手したり、映画祭終盤も盛りだくさんな毎日。映画評論家・石津文子の怒涛のカンヌ日記、第3回!(全3回の3回目/最初から読む

『タイタニック・オーシャン』囲み取材。(左から)中村莉久、佐々木ありさ、室はんな、メリナ・マルディーニ(撮影:筆者)

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トム・クルーズのおかげ(?)でランチ会に出席

【5月20日(水)】映画祭9日目。まだダウン気味なので午前中は休養にあて、昼はゴールデン・グローブ賞投票者のランチ会へ。ゴールデン・グローブはアカデミー賞の前哨戦と言われるアメリカの映画、テレビの賞だが、もとはハリウッド外国人記者クラブの賞。現在は私のような海外在住の評論家も投票できるようになった。このきっかけは実はトム・クルーズで、投票者が白人だらけであることが問題視された2021年に「体制を変えるべき」として、過去のトロフィーを突き返したのだ。ということで、多様性を図るため私のような海外在住の評論家も条件を満たせば投票できることになり、その交流の場が映画祭というわけだ。お腹がイマイチの私にはリゾットが出て嬉しい。海外の記者たちと話をしていると、『フィヨルド』、『急に具合が悪くなる』、『ミノタウロス』、『ファザーランド』あたりの評判がいい。中国の若い女性記者は、『ナギダイアリー』推しで深田晃司監督にインタビューできたと大喜びしていた。

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 そのあとは、ある視点部門『タイタニック・オーシャン』。日本で全編ロケした、プロのマーメイド養成所での女子学生たちのスポ根ファンタジー。子供の頃、よみうりランドの水中バレエのCMをよくやっていて憧れた。実際に観たことはないが過酷なことは想像はつく。監督のコンスタンティナ・コヅァマーニはギリシャ出身、女子学生役は全員オーディション。主演の佐々木ありさは、この映画でもっと世界を知りたいとフリーになり、最近までアメリカに留学していたそう。ガッツがあるなあ。

 22時30分、コンペ作品、アイラ・サックスの『The Man I Love』。ラミ・マレック、またまた名演。80年代半ばのニューヨークで、HIVに感染したと思われる舞台人を演じているのだが、本当に振り絞るような歌を聴かせる。実物は少年のようなんだけど、映画だとものすごいフェロモンを出す。カンヌより、アメリカの映画賞に絡みそう。映画が終わり部屋に戻ると深夜0時半。相変わらずお腹の調子が悪いが、持参の胃腸薬が底をついてしまい、同室のMさんに分けてもらう。映画祭もあと3日だ、なんとか乗り切らないと。