先天性の難病「顔面動静脈奇形」で鼻と上唇が変形し、40回以上の手術を受けてきた河除静香さん(51)。見た目による差別を受けてきた体験を芝居にして上演する彼女は、20代のうちに結婚したいという強い意志を持ち、婚活に積極的に取り組んでいた。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。

河除さんと夫

「あんたにあるがは若さだけながや」仲人から浴びせられた言葉

 河除さんは短大卒業後、職場の人から「あんたの魅力は性格やよ」と言われたことをきっかけに、「性格を知ってもらうには一緒に働いたほうがいい」と考え、倉庫の偉い人に直談判して就職を果たした。そうした行動力は婚活においても発揮された。結婚相談所への登録や映画サークルへの参加など、積極的に動き続けた。

 しかし、婚活の現場は厳しいものだった。お見合いで話が進みかけたものの、自分の覚悟が整わず断ってしまったところ、仲人から「なんで断ったがや! あんたにあるがは若さだけながや」と叱責された。それでも河除さんは、「自分に価値がないとは思ってなかった」と振り返る。お見合い写真の提出にも、写真を撮られることにも、抵抗はなかったという。

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 映画サークルでも早々にアプローチを受けたが、「母親の介護をしてほしい」という言葉に「この子なら結婚できるやろうとか、介護要員にしたいとか思っとるんやろうな」と感じ、すぐに断った。「いろんな目にも遭ったけど、後悔しとるかというとそうでもなくて。実は今そのエピソードもお芝居にしとるので、糧になったなと思ってます」と笑って語る。

 そんな河除さんの心を動かしたのは、倉庫業の職場で出会った現在の夫だった。職場の年上の女性たちが夫に「アライさん(河除さんの旧姓)のことどう思う?」と聞いたところ、付箋に「スタイル抜群。目元涼やか」と書いて渡してきたのだという。「異性で自分の顔のことをそういう風に褒めてくれる人は今までおらんかったから、すごく記憶に残りました」と河除さんは語る。

 交際が始まると、夫は病気のことを話さない河除さんに「ちゃんと言ってほしいがや!」と真剣に向き合い、病気の説明をした河除さんに「そんなじろじろ見るやつがおったら、俺が着ぐるみを着て君の隣を歩くから」と言い放った。

「本当にこの人は私のことを真剣に考えてくれているというのが分かって、すごくうれしかったです」――幾度もの困難を乗り越えた先に、河除さんはそんな言葉を掛けてくれるパートナーと出会っていた。

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