汗だくでもフーディは脱がない!
残念だが、彼はまさに悪い意味で有名になってしまうのである。インタビューが始まり、ウォルトがプライバシーと「インスタント・パーソナライゼーション」機能の問題を追求すると、壇上のザッカーバーグは不安を覚えたようで、だんだんとその不安が身体に出はじめた。会場の最前列に座っていたサンドバーグの目にもその姿が届きはじめると、彼女の顔には恐怖に歪んだ表情が浮かんだ。ザッカーバーグは完全にメルトダウン状態になっていた。
冗談ではなく、本当に溶けかかっていたのである。
どんどん汗だくになっていくその姿は、映画『ブロードキャスト・ニュース』のワンシーンを彷彿させた。アルバート・ブルックス演じるアーロン・アルトマンが、ウィークエンドニュースのキャスターの代役を必死にこなそうとするのだが、水たまりができるほど汗だくになるのだ。しかし、ザッカーバーグの汗はその比ではなかった。
私はインタビューで容赦なく相手に質問を浴びせることで知られ、そう思われているのを自慢に思っているが、シリコンバレーで神童と騒がれている時の人を水たまりに沈めるのは避けたかった。そこで、暑いのならそのフーディを脱いだらどうかと提案してみた。ザッカーバーグがいつも着ているあのフーディである。
明らかにピンチに陥っている彼を私は母親モード全開にして救おうとした。それは親切心からだけではなくて、ここで気絶でもされたら、目覚めさせるのにあの童顔をひっぱたくはめになる。それだけは避けたいと思ったからだ。なのに、ザッカーバーグは固辞した。汗だくで苦しんでいるのは明らかだというのに。「僕はフーディを脱がないんです」と冗談めかして言うものの、元気はなかった。
