「クソ野郎だと思ってるらしいですね」

 出会った瞬間からそうだったのだが、ザッカーバーグは私を、いや、おそらくマスコミ全体を敵対視しているようだった。

「僕をクソ野郎だと思ってるらしいですね」

 初対面の私に向かってザッカーバーグはそう言った。いきなり攻撃的である。他の起業したての若者は、私に対して必死におべんちゃらを使う人がほとんどだった。私は有力経済新聞の記者だったし、私にどう書かれるのかは注目されると知っていたからだ。この最初の一撃にもかかわらず、私にはザッカーバーグが無害そうに思えた。まるで子鹿のような目と、捉えどころのないアニメキャラクターのような広い額のせいで、生まれたての何かに見えたのだった。

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 だが、ザッカーバーグは間違っていた。私は彼をクソ野郎だとは思わなかった。たぶんそうだろうとは思っていたが、それは多くの人から耳にした情報に基づいた意見だった。私が尊敬する人の中には、ザッカーバーグの第一印象を、頑張っても「別にたいしたことはない」くらいにしか表現できない人もいた。取るに足りないとか、傲慢すぎると思った人もいた。たいていの人は、彼もまたテック業界の青年実業家の一人に過ぎず——ここで私と声を揃えて言っていただきたい――考えがたびたび間違っているのに自分を決して疑わないタイプ、だと思っていた。

 もちろん、彼が世界を変えるような器の人間だと思っている人は一人もいなかった。当時はSNSの黎明期で、ザッカーバーグはまだ世界に名だたる富豪にも権力者にもなっていなかった。

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