八村の選択に疑問の声も

 そうした皮肉を抜きにしても、今回の八村の移籍を疑問視するファンは少なくない。

 八村は現在28歳で、年齢からすれば全盛期の真っ只中にある。こうした実力派選手がFAになった際には、「優勝候補に移籍して重要な役割を担う」か、あるいは「もっとも高額なオファーをしたチームに移る」のが定番だが、八村の選択はそのどちらでもなかった。

 実際のところ、現在のクリッパーズの戦力について、現地では「勝率4割に届くかどうか」「最下位争いの可能性もある」といった見立てが優勢となっている。そうしたなか、「わざわざ全盛期に弱小に行って八村はどうするつもりだ」といった冷ややかな意見も聞かれる。

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バスケットボール選手として全盛期を迎えつつある八村塁 ©時事通信

 もちろん再建中のチームであっても、給与が高ければビジネスとして理解もされやすいだろう。しかし、今回八村が結んだ2年2800万ドル(年平均1400万ドル)という契約は、当初の市場予想を下回る金額だ。

 たとえば米メディア「NBCスポーツ」は、事前に年平均1800万ドル~2000万ドル規模の契約を予想していた。他の専門家たちの間でも、「複数のチームが関心を示すなか、1500万ドル以上出せるかどうか」が獲得のラインになると考えられていたのである。

 こうした背景から、八村を「金も名誉も気にせず弱小チームを選んだ変わり者」と見なす現地ファンは少なくないようだ。

「ウチならもっと輝ける」クリッパーズファン歓喜の声

 それでは、当のクリッパーズファンは八村の加入をどう捉えているのか。結論からいえば、「堅実な補強」「ポジションの穴が埋まった」など、戦力の上積みを喜ぶ声が多く聞かれる。

 こうした純粋な歓迎の声に加え、クリッパーズファンが対抗心を抱いてやまない宿敵レイカーズに対する「当てこすり」も目立つ。

 とりわけ、「レイカーズはスター選手がボールをもちすぎてルイが輝けなかった」「ディフェンスのスケープゴートにされていた」など、これまでの立ち位置に同情する声が見られる。

 こうした意見は、「ウチの環境ならもっとポテンシャルを発揮できるはず」という期待の裏返しともいえそうだ。

 総じて、八村がプレイオフで確かな実績をもつプレイヤーであることに加え、やはり契約内容が年平均1400万ドルと安価に収まったことも、この歓迎ムードの背景にあるだろう。