絶対条件のロサンゼルス、しかし安住はできない?

 こうした現地の見方は、とくに日本のファンにとっては少し心苦しく、生々しく思えるだろう。本来であれば、八村が優勝候補のチームで重要な役割を担ったり、あるいは再建途中のチームで大金を得て、主軸としてボールをもつ姿を期待していたファンも多いはずだ。

 それでも八村がクリッパーズを選んだのは、やはり「ロサンゼルスに留まること」が最優先事項になっていたのだと現地メディアは伝えている。減給やチームの格落ちを受け入れてでも、日本とのアクセスが良く、私生活の環境も整ったロサンゼルスでの暮らしを守りたいというのは納得できる動機だろう。

明成高校時代の八村塁。高校時代は1年生から主力となり、全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会を3連覇した

 しかし、今回八村が結んだ契約には落とし穴がある。八村が結んだ2年契約の「2年目」は、球団側が契約の主導権を握る「チームオプション」だと報じられているのだ。

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 これは球団にとってはきわめて有利な条件であり、八村のプレイが振るわなければ、1年後にチーム側が任意に契約を解除できる。さらにこの条件は、トレードがあった場合にも引き継がれるため、「柔軟に動かせる契約」として他チームに引き渡すことも容易だ。

 つまりこの契約は、彼が望むロサンゼルスでの生活を何ひとつ保証してくれない。それどころか、いつでも「放出を念頭に置いた契約」であるとすらいえる。

「結局のところ、これはただのビジネスなんだ」

 移籍を繰り返すスーパースター、ジェームズ・ハーデンの言葉は、NBAは義理や人情の世界ではなく、安住の地などどこにもないことを物語る。八村がこの厳しいビジネスの世界で望む環境を手に入れるには、とにかく新天地で自身の価値を示し続けるほかはない。

 これまでのキャリアでは、名だたるスーパースターたちの弟分として、しかし臆することなく実力を発揮してきた八村。一方、同年代や年下のプレイヤーも多いクリッパーズでは、プレイ面での貢献はもちろん、経験を活かし精神的にチームを牽引する役割も求められるのかもしれない。

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