7月15日、皇室典範改正案が参院特別委員会で審議入りする。改正案の柱のひとつである「旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える」案については、国論を二分する議論となっている。『文藝春秋』の実施した座談会でも、「養子案」に対して有識者が疑問を呈している。座談会に出席したのは、政治学者の御厨貴氏、作家の林真理子氏、元首相の野田佳彦氏だ。
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皇族には「経験値」が必要
御厨 大切なもう一つの視点は、皇族はその立場になったら誰でもできるわけではない、ということです。いくら旧宮家の方といっても、みんなが皇室行事に参加しているわけではない。戦後の皇族の方々は、ご家族の姿から「皇室とは何か」を学んできた。養子が入ってきたところで、ある種の帝王学をどう補っていくのか。
林 幼い頃からの教育の重要性は、皇族方を見ているとよくわかります。頭の下げる角度ひとつとっても、非常に学ばれている。
野田 それこそ愛子さまなんて、行事のときは微動だにしませんからね。
御厨 今年1月の「講書始の儀」では、私が「オーラル・ヒストリーとは何か」をテーマに皇族方にお話ししましたが、その時も愛子さまは本当にピタッと止まっていた。他の皇族方ともちょっと違うんですよ。それも、人形のように不自然ではなく表情も豊かなんです。
野田 ご家族から学んでいらして、ある種のご覚悟をもって、ご公務に臨まれていますよね。
御厨 引き継いできたことを忠実に国民の前で発揮されている。お手振りにしても、小さい頃からやられていますからね。
林 そんな愛子さまも、ご幼少のころはカメラの前で顔をこわばらせていたり、不登校になられたり、急激に痩せられてご体調が心配になったり、いろんなことがあった。でも、成長の過程を拝見しているから、「本当にご立派になられたな」という思いが生まれてくる。
御厨 当時があっての今なんですよ。
野田 卓球の福原愛さんや石川佳純さんのように、小さな頃から見ていて、近所のおじさんのような感覚を持ってしまう。あの感覚が、象徴天皇を支える土台になっている側面はあるでしょう。
御厨 そうですね。美智子さまが皇室に入られたときから「大衆天皇制」になって、国民やメディアの動きを気にしなかったら制度として成り立たなくなった。運命共同体として「国民とどれだけの時間を過ごしたか」の方が、血よりも大切になってくるんですよ。
そして子どもの頃から訓練されているから、歌舞伎など伝統芸能の襲名のように、皇族の方は即位すると“化ける”。ご自覚を持って化けるんです。

