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「わかりました」
サービスは受けてもいいのか?
そう答えると、統括官は安心したようにうなずいた。私には確認しておきたいことがあった。
「ところで“サービス”は受けてもいいのでしょうか?」
「当たり前だ。店に行ってるのに断ったら不審に思われるだろ」
感情の起伏のない声で統括官が言い切る。
そもそも脱税の原則はとても単純だ。
「収入(資産)を隠す」か、「経費を水増す」のいずれかである。そして、客が不特定多数で、領収証の発行のない業種、つまり風俗業などでは収入を隠しやすい。単純に売上を除外するだけで脱税が成立してしまうのだ。
だから、こうした覆面調査の目的は、帳簿に表れない実態を把握することにある。おおよその来店客数、料金表示と請求額の一致、追加料金の有無などを確認し、売上除外がされていないかなどを探るのだ。
日中の勤務が終わった夕方、「抜きっこ俱楽部」の前に立つ。繁華街の中でもひときわ派手な看板が目をひく。私はあえてネクタイを少しゆるめてから、店の扉を押す。
男性読者の中には、経費で風俗店に行けて役得だと思う方がいるかもしれない。
