「すごく人なつっこい子で、自分のもとへすぐ寄ってきてくれたんです」

あまりの愛らしさに心が揺らぐ中、松本さんは納屋の奥でじっと身を固くしている子猫がいることに気がついた。その子猫は偶然にもキジトラ、コタローくんと同じ柄だった。

出会った当時の2匹

「姿を見た時、『2匹とも引き取ります』と自然と口にしていました」

ADVERTISEMENT

「コタローの面影が重なったのか、新たな命を迎えることの迷いは不思議と消えていた」と話す松本さん。

最初に寄ってきたキジシロの子猫に「ムギくん」、コタローくんと同じ柄の子猫に「コナツちゃん」と名付け、2匹との農園生活が始まることとなった。

慌ただしさが何よりの救いに

2匹を迎えてから、心境に大きな変化があったと松本さんは振り返る。

「悲しむ頻度が極端に減りました」

農作業の傍ら、生後1カ月ほどの子猫たちの世話に追われる毎日。慌ただしい日々を過ごすうちに、コタローくんを失った悲しみに向き合う時間は自然と少なくなっていったという。

かごをよじ登るムギくん

特にムギくんは元気いっぱい。少し目を離しただけで何をしでかすか分からず、常に気が抜けなかったそうだ。

一方のコナツちゃんはというと…。

「(暴れ回るムギくんを見て)『何しとるんやろなあ』って一歩引いて見てる感じです」

異なる魅力の2匹

看板猫として“研修中”の2匹。

ムギくんは今年の冬、イチゴ狩りに来たお客さんの元へ自ら向かい、甘えることもあったのだとか。

なでられ待ちのムギくん

一方、コナツちゃんはその様子を遠目で見ていることが多かったという。

ただ、看板猫としての素質はコナツちゃんも十分。普段は控えめながら、甘えん坊な一面も。

「コナツは抱っこを全く嫌がりません。逆にムギは苦手で3秒持ちません」

抱っこ大好きコナツちゃん

現在、次のイチゴ狩りシーズンでの“正式デビュー”を控えている2匹。
イチゴ農園の“看板兄妹”として活躍してくれたら…と思う気持ちもあるが、無理に看板猫にする気持ちは全くないという。

「2匹には2匹の魅力があるので、無理強いするつもりはありません」