2017年頃からスタートしたサウナの人気はとどまるところを知らず、いまやブームではなく老若男女が楽しむ文化としてすっかり定着した。この流れを作ったのは、ドラマ化もされたマンガ『サ道』やSNSを通じて広く認知された「ととのう」という言葉だろう。サウナ→水風呂→外気浴→サウナ……この一連のルーティンの果てに訪れる、深いリラックス状態のことだ。
このうち外気浴の際にどんな椅子に座るかで、「ととのい」の気持ちよさは大きく変わる。この椅子のことをサウナチェアーや「ととのい椅子」と呼ぶ。
中でもサウナ好きから圧倒的な支持を集めているのが、アウトドア用品ブランドとして知られるコールマンの「インフィニティチェア」だ。深くリクライニングする構造で座ると、体が無重力になったような浮遊感があり、非常にリラックスできて“ととのいやすい”。筆者も旅行先で全国の有名サウナを巡っているが、この椅子が置かれている施設は多い。
「サウナ用」に開発したわけではなかった
サウナ人気の火付け役の1つであるテレビ東京系ドラマ『サ道』の第3話でも、三宅弘城演じる偶然さんが、行きつけである杉並のサウナに椅子を寄付する場面がある。作中ではコールマンの名前は伏せられていたが、登場していたのは、このインフィニティチェアだった。
だが、開発に携わったニューウェルブランズ・ジャパン合同会社コールマン事業部の齊藤雄一さん(マーケティング本部 プロダクトグループ アソシエイトマネージャー)は「サウナで使われるのは想定外でした」と話す。
「そもそもは究極のリラックスチェアを作ろうというコンセプトでした。当時、アウトドアチェアは普通のチェアと比べて、座り心地が悪くて当たり前だったんです。当時のアウトドアチェアは、携行性や収納性が重視され、室内用の椅子ほど座り心地を追求した商品は多くありませんでした。そこに課題を感じ、『だったら究極のリラックスチェアを目指そう』と開発を始めました」(齊藤さん、以下同)

