「神の仕事だ!」脚本で印象的だった台詞は…

――宇垣さんと言えばマンガオタク、そして映画通であることも知られていますが、映画化もされたドラマ『大奥』(03~05)シリーズや『NANA』(05)などを手掛けた浅野妙子さんが脚本を担当されているのは、かなり胸が高鳴るポイントだったのではないでしょうか。

宇垣 脚本が浅野さんと聞いたときは「うわっ、なんて贅沢!」と声が出たと同時に、すごくぴったりだなと思いました。浅野さんの作品はこれまでいくつも拝見してきて、たとえば愛情を描くとき、執着なのか、それとも救済なのか。時には誰かを傷つけるものでもあり、誰かを救うものでもある。そんな表裏一体の、心の動きがギュッと凝縮されたような作品を書かれるイメージがありました。

 今回も、かなり長い原作を1話30分の全10話にするにあたり、いろいろなところを省いたり詰め込んだりしているのを見て、「映像にする場合はこうしてつなげるんだ」とか、浅野さんらしい台詞や言葉選びに、いちエンタメファンとして「神の仕事だ!」と感動しながら読みました。

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――印象的な台詞やシーンがあったら教えてください。。

宇垣 原作にも力強い言葉が多いんですけど、日常生活で発しない言葉が多いので、口に出すときは結構ドキドキするんです。特に第3話、孔美子からまるで過去を忘れたようなふるまいを受けて、明日海が「水に流すなんて、できない」と告げるシーンがあるんです。

 現実世界でそんなこと言ったことないので、どう表現すべきかすごく考えました。でも、いざ口に出してみたら「この言葉しかない」としっくりきて、言いながら怒りの感情が湧き上がってきたんです。他にも、序盤のほうで「明日海はこういうこと言うかな?」と疑問に思った台詞も、後になって「あ、そういうことか」と腑に落ちることが多くて。作り手の方々はずっと俯瞰して台詞を書いているんだなと感心しました。

――疑問に思ったことは、はっきり相談される方のようにお見受けします。

宇垣 「私はこう思うんですけど」と、監督やプロデューサーにお話しします。今回は、とても真摯に受け止めてくれて、議論を深めることができるいい現場でした。

役に寄せるために髪を切り、香水を新しく買った

――明日海は「自分と遠い」とおっしゃいましたが、役に近づける準備などはされますか。

宇垣 まず、原作に寄せるために髪を切りました。それと、明日海のキャラクターに合った香水を新しく買いました。香水はいっぱい持っているんですが、今回は手持ちのどれともイメージが違ったんですよね。私自身はムスクやスモーキーな香りが好きなんですが、明日海はもっと清潔で、正しくまっすぐな心地よさがある香りがいいなと。その香りをまとうと、すっと背筋が伸びる気がするんです。