ちなみに、Sexy Zoneのコンサートに10年ほど通っていた筆者にとって、寺西は馴染みのある(?)ジュニアの一人だ。寺西は、Sexy Zoneのバックにつくことも多く、目にする機会が多かった。

 178cmという長身もあり、当時は「ヤンチャな兄ちゃん」味が強かった印象だ。そんな男っぽさに柔らかさが加わり、いま流行りの“メロ”文脈で語られるようになるのだから、時代の移り変わりを感じずにはいられない。

寺西が所属する7人組グループのtimelesz(オフィシャルサイトより)

印象的だった「2つの場面」

 だが、寺西がバズった理由は“メロさ”だけではなかった。参加者一人ひとりにドラマがあったタイプロのなかでも、とりわけ寺西には強い物語があったのだ。特に印象的だった場面を2つ、紹介したい。

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 まずは、寺西がオーディションに参加して初めて披露することとなった課題曲「RIGHT NEXT TO YOU」のパート決めのシーンだ。

寺西が直面した壁

 チーム内でキャリアも年齢も最年長だった寺西は、誰よりもメンバーの意見に耳を傾けていた。「どこでも自分は輝ける」という自信があったからこそ、他メンバーの希望するポジションを優先した。その結果、寺西に残ったのは、実力者らしからぬ見せ場の少ないパートだった。

 そうした謙虚な姿勢は、一般社会においては美徳とされる。しかし、アイドル、とりわけSTARTO社のアイドルとしては、時に致命的な弱点になりかねない。

新メンバーオーディション時の寺西(『timelesz project』公式インスタグラムより)

 実際、ダンストレーナーからは「グループのことを思うならもっと前に出てきてほしい」「(オーディションに)懸けてないのかな」と厳しい指摘を受け、ポジションの再考を促される。長年、バックダンサーとして先輩たちを“支える側”に徹してきた寺西にとって、他のメンバーの希望を差し置いて自ら“前に出る”ことは大きな壁だったのだ。

 最終的にメインパートを担当することになった寺西だが、「懸けていないということは全くない」と静かに言い切る姿や、自身のスタンスと求められる役割の間で葛藤する姿には、多くの視聴者が思わず共感し、胸を打たれたのではないだろうか。