なかでも、最年少の浅井乃我(現ジュニア)は、当時スランプに陥っていたのだが、メンバーたちは彼と根気強く向き合った。その光景には、これまでのアイドル人生で寺西が経験できなかったものが詰まっているような気がして、思わずグッときたのである。
パフォーマンスを無事に終え、振り返りざまに涙を見せた寺西に「もう、テラ~(涙)」と松島聡が駆け寄ったが、視聴者も全面的に共感したことだろう。長らくひとりで歩んできた寺西の道のりを思えば、「もう、テラ~(涙)」としか言いようがない。
大役に抜擢された理由は?
SNSを席巻するほどの話題性と、思わず応援したくなる実直な人間性。その両方を兼ね備え、事務所ファン以外の一般層にも広く支持を広げた寺西だからこそ、内田有紀の相手役という大役を射止めたのもごく自然なことだったのではないか。
個人的には、ドラマ主演はもう少し早く実現すると思っていたのだが、ここ1年は舞台仕事が相次ぎ、ハードなスケジュールをこなしていた。満を持してのドラマ主演作が『ラストノート』だったのだ。本作の三竿玲子プロデューサーは、寺西へのオファー理由について「いろんな表情を見せる澄晴を説得力を持って表現してくださると考えた」と明かしているが、その期待に応えるうえで、寺西が歩んできた稀有な経歴がきっと活きてくるのだろう。
それに一度は夢を諦めた青年という点では、『ラストノート』の澄晴とタイプロ時代の寺西本人が重ならなくも……ない。だが、作品が押し出す“ワル男仕様”の澄晴より、自宅でくつろぐナチュラルな澄晴のほうがよほどメロいのだと、最後に書き記しておこう。どうか澄晴がこれ以上道を踏み外さないでくれと願いながら、今後もしかと動向を見守りたい。

