落語や講談から耳に馴染んだ江戸の言葉

――全場面を通じて江戸言葉が非常に生き生きとしていますね。

朝倉:私は落語とか講談とか、学生のころから大好きで、夜寝る前にテレビから録音したものをカセットテープに入れて、繰り返し、繰り返し聞いていたんです。若い女性の趣味としては、どうなのかと思いますよね。そのカセットのラベルには、自分でシールを貼って可愛らしくしたりもして(笑)。

 志ん朝が好きで、あと抜群におもしろかったのが枝雀。二ツ目のころの小朝もよく聴きました。当時人気だったミュージシャンを主人公にした講談とかもあって、それを聴くのもうれしくて……ああいった調子のよさが、江戸の言葉を書くうえで土台になったと思います。改めて2、3年前から江戸の言葉について本も読んだんですけど、それはもう耳に馴染んでいる。辞書を読んだらまた違う知らないものがいっぱい出てきたりもして、それはそれで楽しかったですね。

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――江戸という時代を学ぶための資料集めには、苦労があったのではないでしょうか。

朝倉:連載の前に古文書の講座に5、6年通って。一次史料を読みたくて通ったんですけど、全然覚えられませんでした(笑)。でも、その講座のテキストの豆知識みたいなものから、江戸時代のことをいろいろ教えてもらって、興味があるところはさらに別の本を読んだりしていました。

『けんぐゎい』の巻末に参考文献をたくさん載せたのも、私が時代小説を書くときに、ほかの作家の方がどんな資料を参考にして書いているのか興味があったからです。小説を読んで参考文献を読んで、「あ、こうやってやるんだ」って勉強したので。もしかしたら、同じように思う人がいたらと考えて、なるべくたくさん参考文献を入れたんです。