安田 船に乗った3人については、全員、名前まで分かっています。メインの人物は邢暁婧(シンシャオジン)という記者です。ほかに張常悅と王璞という女性記者が乗っていたことも分かっている。3人とも日本語が話せて、張常悦も日本関連報道でたまに名を見る人物ですが、こちらは二線級。王璞は動画撮影担当とみられます。

『環境時報』公式ショート動画より。東恩納氏(中央奥)の船に中国人記者らが乗り込む姿が映っている

──なるほど。ほかには。

安田 そもそも彼らのメディア、中国共産党中央機関紙『人民日報』の系列紙である『環球時報』がどういう存在かという話からします。『人民日報』は党の意向をそのまま伝える新聞で、党のプロパガンダの一丁目一番地です。ただ、党機関紙なのでお堅い。そこで、より一般の人にも読めるようセンセーショナルに作られて、党の方針の範囲内で一番尖ったことをやる媒体として位置付けられているのが『環球時報』です。いわばプロパガンダの突撃隊長ですね。

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 紙媒体の全盛期には、同紙は中国でも発行部数が最大級の新聞でした。とりわけ、日本たたきはやっぱり非常に強いコンテンツになる。ただ、『環球時報』の編集部に日本専門の記者はそれほど多くありません。今回、辺野古に来た邢暁婧氏は、同紙の反日プロパガンダ……。もとい、対日報道をほぼ一手に担っている人物です。

──日本コンテンツのマスターですね。

安田 そうです。いま40歳くらいの女性記者ですね。彼女は中国でいう「よい記者」です。中国国内のジャーナリスト賞みたいなものも受賞している。すなわち、中国共産党中央宣伝部や、メディアを管轄する広電総局が主催する賞です(笑)。中国のメディア統制・宣伝行政の中枢から評価されている人物ということになる。

邢暁婧記者(左)。2023年7月、北京訪問中の玉城デニー沖縄県知事を単独インタビューした際に撮影。邢氏が自身の記者ブログにアップしたもの

 受賞した報道は、なんと日本の福島報道です。中国は2~3年前、福島第一原発の処理水放出をめぐって大々的な対日批判キャンペーンを展開し、「日本は核汚染水を流している」というナラティブを国内外に広めようとしました。邢暁婧氏はその関連記事を最も多く書いた人です。

 それで賞を取った後、中国全土を行脚して、「私は福島の問題でこの賞を取りました」という形で宣伝活動もやっている。まさにプロパガンダ戦士の筆頭。すくなくとも西側的な意味での、普通の記者とは呼べない人物です。

日本政府は気づいていたのか?

──中国共産党のお墨付きをもらっている人物ということですね。しかし、邢暁婧氏の本来の意味での「記者」としての実力はどうなのでしょうか。