今年3月、沖縄県名護市の辺野古沖で、米軍基地建設への海上抗議活動に使われていた小型船2隻が転覆し、修学旅行中の女子高校生を含む2人が死亡する事故が起きた。船を運航していたのは、ヘリ基地反対協議会。中国ルポライターの安田峰俊氏がその周辺を取材する中で、中国共産党のプロパガンダ機関との看過できない接点が浮かび上がった。【全3回の3回目/第1回第2回も公開中】

◆◆◆

「ネトウヨの妄想」ではなかった

──中国の対沖縄工作についての昨今の安田さんの一連の記事で、関係者はびっくり仰天したのではと思うのですが。

ADVERTISEMENT

安田 日本本土において一定の反響はあったと言えるでしょう。Xでもかなり拡散されました。これまで「ネトウヨの妄想」だと思われていた沖縄の反基地団体や琉球独立団体・平和団体と、中国共産党が本当に接点を持っていたことが、明白な根拠をもって示されたわけですから。ただ、沖縄側では、これらが報じられたことすら知らないケースがかなりあります。

名護市辺野古の沿岸部。抗議活動が続くなか、米軍基地の移設作業が進む。南側(奥)の埋め立てはほぼ終了し、東側の大浦湾(手前)でも埋め立て用土砂の投入が開始された(昨年11月撮影) ©共同通信

「中国は、沖縄にとっていい国なんじゃないか」

──なぜですか。

安田 理由は簡単で、一つは週刊誌が昔に比べて弱くなっているから。コンビニでもあまり売っていないので、沖縄の人も週刊誌を読まなくなっている。記事の内容はウェブにも転載されますけど、わざわざ見ますかというと、あまり見ないわけですよね。

 特に左派であれば──。これは沖縄の二大新聞や与党のオール沖縄も含むので、沖縄本島の世論のかなり大きな部分だと思うんですが、彼らはやっぱり自分たちの考えに近いメディアを見ます。わざわざ、自分たちの悪口が書いてありそうな『文春オンライン』や『NEWSポストセブン』は読まない。読むなら、そもそも考えが近い琉球新報を読むよ、と。

 加えて事実として、沖縄の歴史的経緯や基地問題に対する無関心や冷淡さは、メディア関係者も含めて日本本土には明確に存在します。なので、沖縄側でも「どうせナイチャー(日本本土の人間)は、俺たちウチナーンチュのことを何も知らずに知ったかぶっているだけ。あいつらのメディアの話なんて信用できるか」という認識を持つ人も、けっこういるんじゃないでしょうか。