安田 やはり歴史が一因だと考えます。沖縄は1972年までは日本の施政権下になかったので、日本の戦後復興も高度経済成長も、70年安保をめぐる学生運動の過激化も、それに対する一般世論の冷ややかな感覚も、日本本土と同じ当事者感覚では体験していない。結果、バブル経済や失われた三十年の感覚も違っているでしょう。これらは別に沖縄に責任があるわけでも、間違っているわけでも何でもなく、とにかく現代史が違うということです。

 住民感覚というのは、すごくハイコンテクストでドメスティックなものです。だから、沖縄では復帰後も日本本土とは異なる世論や社会が形成される。自民党も共産党も公明党も、沖縄では組織上は本土の政党の支部のはずですが、雰囲気はかなり違いますしね。

──右派の人たちは、そういう沖縄の世論を白眼視しがちですが、そもそもモノの見方が違うということですね。意外とそこにみんな気づいていない。

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安田 そもそも明治維新までは「琉球国」という別の国でしたしね。それから1945年の沖縄戦でまた日本本土から切り離され、1972年に返還されて、今は返還から54年。歴史的には、かなり複雑で不安定な位置にある。その不安定さがいま、中国につけ込まれているわけです。

玉城デニー知事と筆者。2024年11月15日、地域外交における中国接近について筆者が取材した際に撮影

──そうですよね。

安田 中国の浸透工作を防ぐには、日本政府や本土側の人たちの、沖縄への理解と努力も必要だと考えます。なぜ基地があるのか。なぜ左派が強いのか。なぜ一部の人たちが中国と結びつくのか。それらはすべて現地特有の理由もあるわけで、その本質的な要因を理解したうえで沖縄へのアプローチを考える必要があるはずです。

 なにより思うのは、ヤフコメやXで「スパイだ」とか言って噴き上がるのは、国防上かなり有害だということです。そもそも日米両国に対して複雑な感情がある地域の人を、さらにナイチャー嫌いにさせる。それは中国の分断工作に加担するに等しい言説でしょう。まあ、一部の右派的な言説は、それこそロシアや中国が、本気で社会分断を狙って意図的に流しているものかもしれませんけどね。

<全3回/第1回第2回から続く>

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