今年3月、沖縄県名護市の辺野古沖で、米軍基地建設への海上抗議活動に使われていた小型船2隻が転覆し、乗船していた修学旅行中の女子高校生を含む2人が死亡する事故が起きた。船を運航していたのは、ヘリ基地反対協議会。中国ルポライターの安田峰俊氏がその周辺を取材する中で、中国共産党のプロパガンダ機関との看過できない接点が浮かび上がった。文藝春秋PLUSの動画で語った内容を整理し、大幅に加筆してお届けする「中国の対沖縄工作事情・永久保存版」。【全3回の1回目/第2回第3回も公開中】

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「あの時に左端にいた人じゃん」

──そもそも、この件に注目したきっかけは何だったんでしょうか。

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安田 中国に『環球時報』という新聞があるんですね。中国共産党中央の機関紙である『人民日報』の系列紙で、私は定期的に見ている。そうしましたら、辺野古の事故から1週間後の関連記事が載っていた。読んでみると、「昨年、私が辺野古に行った際は、反対協の活動家・東恩納さんに取材した」みたいなことが書いてある。「なに?」となりまして。

『環球時報』はすごくアグレッシブなメディアなので、ショート動画も大量に上げているんですね。そこで動画を見たら、なんと記者が思いっきり船に乗っている。ここでは乗せた人が「現地漁民の東恩納さん」と紹介されていたのですが……。例の辺野古の沈没事故の際に、反対協の幹部5人くらいが記者会見しましたよね。「あの時に左端にいた人じゃん」と。

辺野古沖で修学旅行中の女子高校生を含む2人が死亡した事故で、報道陣の取材に応じる「ヘリ基地反対協議会」の幹部ら。左端が名護市議の東恩納琢磨氏 ©時事通信社

 つまり、反対協の事務局長で現役の名護市議の東恩納琢磨氏です。その人が、中国共産党のプロパガンダ媒体の女性記者3人を船に乗せて、辺野古の基地近海まで接近している。海上保安庁の警告を受けながら、中国人記者が「撮影していいですか」と聞いたのに対して、「いいですよ、撮ってください」みたいなやり取りをしている。それが全部、中国側の動画に残っているんですね。「これ、どう考えても大スクープじゃん」となって、2日後に沖縄に行って記事を書きました。

中国女性記者3人の「正体」とは…

──反対協とつながりがあるとされる、中国共産党側の宣伝機関の記者というのは、具体的にはどういう人物なのか。どのくらい分かっているんでしょう。