安田 フォローすれば、沖縄本島で暮らしていた場合、仮に政治性のない立場でも日米両国政府に一定の反感を覚えるのは仕方ない部分もあると思います。中国は目に見えないけれど、米軍の飛行機は頭の上を爆音で飛んでいますからね。「日本とアメリカは悪だ」という言説は、日本本土の大部分の人は極端な意見だと感じてしまいそうですが、沖縄本島では現実的にそういう側面が目に見えるので。

 しかし、問題は中国認識です。取材過程で沖縄左派の活動家の方とずいぶんたくさんお会いしましたが、彼らの間には「日本とアメリカは台湾の民進党政権をそそのかして中国侵略戦争(台湾有事)の準備をしており、中国は挑発を受けて侵略される側だ」という認識がある。オール沖縄が与党である県政や、琉球新報・沖縄タイムスなどの地元メディアにも、その認識がある程度流入している。中国も日米と同等かそれ以上の「悪」だ、という認識にはなりにくい。

 あと、辺野古にやってきた『環球時報』の人たちも、別に「私たちは中国共産党のエージェントです」とは自己紹介せず「ジャーナリストです」と言うわけです。かつては福島の問題などでも、弱い人たちに寄り添って報道してきた正義の記者です、と。反対協としては断る理由はない。自分たちの問題をポジティブに報じてくれるメディアなら何でも受け入れたい、と考える。

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“琉球独立運動団体”の大学教授

──『環球時報』の邢暁婧氏たちは、そもそも辺野古でどうやって東恩納氏に接触したのでしょうか。

安田 ここで重要なのは紹介者なんです。それは誰かというと、「琉球民族独立総合研究学会」という、琉球独立運動団体の創設メンバーで、現在も影響力のある指導者とみてよい松島泰勝氏という龍谷大学の教授です。

2013年5月、「琉球民族独立総合研究学会」設立の趣旨を説明する同学会設立委員会のメンバー。写真右が、松島泰勝龍谷大教授 ©JIJI PRESS

 そもそも松島氏らの琉球独立運動は、辺野古問題をめぐる国への反発を背景に組織化が進んだとされている。なので反対協としては、仮に琉球独立そのものには是々非々の立場だったとしても、やっぱり「仲間」なんです。しかも大学の先生で、偉い人。なので、紹介された『環球時報』の記者を信頼して受け入れた。

──松島氏の方は、その行為がどういう構図を意味するのか、反対協よりは分かっていらっしゃるのでしょうか。