下ネタをやるとは思ってもみなかった

――反応はいかがでしたか?

こっちゃん選手 めっちゃ怖い数学の先生が笑ってくれました。「この世で一番おもしろい漫才だ」って。チュートリアルさんやナイツさんや、面白い漫才師はたくさんいるのに「この世で一番おもしろい漫才を見てしまった」って。

――比較対象もすごい。

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こっちゃん選手 「近所のおもしろいおばさんでいいんじゃない」って言われてた私には、その言葉が染みに染みて。これやばいぞ。階段登ったなって思って、もう絶対東京行くって決めました。

©︎石川啓次/文藝春秋

――その時点ではまだこんなに下ネタをやるとは思ってもみなかった。

こっちゃん選手 そうですね。元々下ネタがめちゃめちゃ好きっていうわけではなくて。ただ「うんこ」「ちんこ」で笑うタイプではあったんですけど。とにかく漫才が大好きで、漫才をやりたくて大学の落研に入りました。そこで女の子と組んでたんですけど、4年目にさしかかったときに、どうしようかなって思って。

――進路に悩む時期ですね。

こっちゃん選手 私はプロに行きたいけど、当時組んでいた相方はそうではなかった。そのときちょうど今の相方の峯(シンジ)君がピンで活動してたから、じゃあ1年間だけ組もうよみたいな話になって。でも峯君はコントが好きだったから、漫才ではなくコントをやり始めたんですよ。

自分がおもしろいと思うことを封じたくない

――徐々に下ネタの道へ……。

こっちゃん選手 そう(笑)。一番最初にやったのが、ラジオのコントでした。ラジオの番組中なのにパーソナリティの男が、共演者の女の手を触ってくるっていうネタをやったんですけど、多分生々しくて全然ウケなかった。しかも私が出した案だから、ウケてないことに「ん?」ってなって。「おもしろいだろ!」って。

――悔しくなってしまった。

こっちゃん選手 そこから無意識でか分かんないんですけど、下ネタっぽいことをコントに入れるようになりました。「イルカの調教師」っていうネタも私が考えたんですけど、調教師役の峯が、手をグーにして「お前、この拳触ってみろ」って弟子役の私に触らせる。「これなんだか分かるか。イルカのあそこってこれぐらい硬いからね」みたいな。

©︎石川啓次/文藝春秋

――反応はどうでしたか?

こっちゃん選手 しーん(笑)。なんでこれもウケねえんだよ!! って思いました。

――(笑)。引かれてショックではなく、怒りが湧いてきた。

こっちゃん選手 そう、なんで? って思っちゃって。だったらみんなが笑う下ネタ出してやるよって。だって相手が笑う笑わないで自分がおもしろいと思うことを封じたくないじゃないですか。

 エロ漫画だって、「今流行ってるから」で入れた要素より、作者自身の性癖を感じるエロ漫画のほうがめちゃくちゃ魅力的だし。お笑いでも私はそれをすごく感じていて。下ネタにこだわるっていうよりは、下ネタがおもしろいからやってるっていう感覚です。おもしろいのがたまたま下ネタだったっていうだけで。