「ヘルシーだから」と小腹が空くたびにナッツやチーズをつまむ人が見落としがちな「脂質のオーバー摂取」。適量(ナッツは1日約30g)を超えた過剰摂取は、内臓脂肪の蓄積や脂肪肝を引き起こし、全身の炎症やインスリン抵抗性を通じてアルツハイマー病のリスクを跳ね上げてしまう。
だが、脂質の罠はナッツやチーズだけではない。私たちがご馳走として親しむ「あの肉」や、朝食の定番である「あの加工品」にも危険が……。
「糖と脳」の専門家・下村健寿氏の新刊『糖毒脳 いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』(ダイヤモンド社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
脂質が体に与える「ダブルパンチ」
脂質は血糖値を上げません。それなのに、なぜ脂質を多く摂ることが良くないのでしょうか? それには理由があります。
ナッツやチーズの場合、たとえ食べたのが少ない量であっても、大量の脂質が体の中に入ります。脂質は重要な栄養源であるため、運動などで消費されない脂質は血液中から内臓脂肪として蓄積されます。
この内臓脂肪が問題なのです。内臓脂肪は皮下脂肪と違って、蓄積すると炎症物質を放出します。たとえ血糖値は上がらなくても、内臓脂肪が蓄積することで全身の炎症リスクが高まってしまうのです。炎症が発生するとアルツハイマー病発症のリスクが上がることは、すでに説明したとおりです。
そしてもう1つ、脂質を摂ることのリスクがあります。
大量の脂質を簡単に摂取できるチーズとナッツの場合、内臓脂肪に溜まる以上の脂質が体の中に入り込んでしまうことがあります。すると行き場を失った脂質は肝臓に取り込まれ、蓄積し始めます。これが脂肪肝です。
肝臓は、本来脂肪が溜まるべきではない場所です(本来溜まる場所ではないところに溜まった脂肪のことを「異所性脂肪」といいます)。肝臓は、インスリンの力を使って血中への糖の出し入れを制御する重要な臓器でもあります。そこに脂肪が蓄積してしまうと、インスリンが十分に効果を発揮できなくなってしまいます。つまりインスリン抵抗性になってしまうのです。
