レモネードスタンドは300歳まで続けます
──四郎くんは、病気の後遺症でちょっと疲れやすいと聞きました。
母・佳子 疲れるとボーッとなってしまうので、レモネードスタンドも休み休みじゃないとできないんです。おかげさまでいろんなところから声をかけてもらえるようになったのは嬉しいのですが、そんなにたくさんはできないので、たくさんの人に小児がんについて知ってもらえる、絵本という手段が完成したのはありがたいですね。制作委員会の皆さんを始め、多くの方が様々な方面から協力してくださったことに感謝しています。
──絵本ができて、一番嬉しかったのはどんなことですか?
四郎 「かわいい絵本ができてよかったね」「四郎くんにそっくりだね」といわれたことです。あと、おじいちゃんおばあちゃんや、学校の先生がたくさん広めてくれたり、「本読み隊」の人が全クラスで絵本を読んでくれたので、学校で「しろさんだ」と声をかけてもらったりしたのも嬉しかったです。病気の子にもたくさん読んでもらって、「自分も病気が治って、楽しくレモネードスタンドができる」と思ってほしいです。
母・佳子 「小児がんっていう病気は治っても疲れやすいんだね」など、この絵本が小児がんについて知るきっかけになってくれたら嬉しいです。
四郎 小児がんで闘病中の子どもたちのためにできることは、まだまだいっぱいあります。ぼくは300歳まで生きるのが目標なので、レモネードスタンドも300歳まで続けますが、この本の売り上げで、薬を研究してもらいたいです。
──300歳って、それはどうして?
四郎 できるだけ長くレモネードスタンドをやりたいからです。本当は1000歳まで生きたいけど、それは無理って言われたから、今は300歳って言ってます。これからも、疲れない程度に、年に1~2回レモネードスタンドを続けていけたらいいなと思っています。
進学や就職、結婚に影響があるかもしれない
──四郎くんのまわりには、いつもたくさんのお友だちがいますよね。レモネードスタンドもそうですが、絵本もたくさんのお友だちが手伝ってくれたと四郎くんからお聞きしました。
榮島英剛さん(以下、父・英剛) 病気を公表することで、進学や就職、結婚などにマイナスに影響することもあるかもしれません。でも、それよりも家族として私は、小児がんの現状や、小児がん治療のセカンドオピニオンの重要性を知ってほしかったという思いがありました。それに、これからはマイナス面なんか気にせず、レモネード遊園地のように病気の子も元気な子もみんなが楽しく仲良く暮らせる世の中になってほしいという期待も持っています。
母・佳子 小児がんには治癒というものがありません。再発や合併症、後遺症などと向き合って生きていかなければならず、24時間365日一緒にすごす家族としては、心配なことや不自由なことがたくさんあります。いずれ大人になれば嫌でも一人で生きていかなければいけないので、今は親子で向き合いながら、レモネードスタンドや、絵本の制作を通して、小児がんと向き合うたくさんの仲間を見つけてもらえたら嬉しいです。