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周りの人に理解してもらえないことも

──小児がんの晩期後遺症は最近ようやく注目されるようになりましたが、まだ知らない人の方が多いのではないかと思います。「病気が治った後も大変なことがある」という意味で、「ちょっと疲れやすい」以外で、日常でご苦労されていることはありますか。

母・佳子 やはり周囲の理解不足ですね。四郎は一見元気に見えるので、病気の後遺症で疲れやすいと説明しても「四郎ばっかり休んでずるい」と言われたこともあります。幸い、四郎は「ぼくは、ぼく」と考えられる性格ですが、「ずるい」と言われることに傷つく子もいます。晩期後遺症に関する知識や認知度が自分にもまわりにもなさすぎて、理解できないことがいじめや差別になると言った親御さんもいました。

 

──四郎くんにはどんな大人になってほしいと思いますか。

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父・英剛 四郎はいつか、小児脳腫瘍のお泊まり会や患児のキャンプなどで、小さい子の面倒をみる「リーダー」になるのが夢だそうです。身近にそういう素敵な人がいるのも嬉しいことですし、そういうことをやりたいと言ってくれることも嬉しいです。病気になったことは大変なことではありましたが、みんなの親切に感謝でき、人に優しい子に育ってほしいと思っています。

母・佳子 入院中、病院でたくさんの絵本を読んだことで、今でも本が大好きな子どもになりました。人に優しい、思いやりのある子になって、自分のやりたいことを自由にやってほしいです。レモネードスタンドもやりたくなくなったらやめればいい。でも、友だちと一緒に年に1回くらいは同窓会みたいな感じでやってくれたら嬉しいなというのが本音です。

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 小児がんは「7~8割が治る」と言われるが、早期発見が難しく症例も多様なため、専門医の不足が深刻な課題となっている。榮島四郎くんの主治医・鈴木智成医師に、小児がんの現状と課題を聞いた。

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小児がんは、7~8割が治る?

鈴木智成医師

──ここ数十年の医療の進歩で、現在、小児がんは、7~8割が治ると言われています。

鈴木智成先生(以下、鈴木) 確かに、小児がんは以前に比べて治癒率が飛躍的に向上しました。1950年代に抗がん剤治療(化学療法)が始まり、その後、多剤併用や造血幹細胞移植が適用されるようになって、血液のがんに関しては、多くの子どもたちが治るようになってきました。

──「血液のがんに関しては」ということは、すべての小児がんが7割治るわけではない、ということですか。

鈴木 もちろんです。小児がんというのは、15歳以下の小児がかかるさまざまながんの総称です。小児がんには白血病や脳腫瘍、神経芽腫(しんけいがしゅ)、リンパ腫、腎腫瘍(腎芽腫・じんがしゅ、ウィルムス腫瘍)などさまざまな種類があって、人によって症状も治療法も異なるため、「7割治る」というのはあくまで平均値でしかありません。しかも、脳腫瘍に関していえば100種類以上あり、本当に「ケースバイケース」です。