仲間同士で「相手の身体で遊ぶ」

チュウ どうして黒社会の話と同性愛の話を融合させたかというと、脚本を書く前に刑務所を出たばかりの人たちのリサーチをしていると、刑務所の中では仲間同士で相手の身体を触ったりすると。それは必ずしも同性愛者であるとは限らないんですが、彼らは相手の体で遊ぶっていう言い方をしていました。それを聞いてとても驚いて、そういう風にして遊んだ相手に対して、愛情というのは芽生えるんだろうかということを疑問に思いましたし、出所したあとで相手とどういう風に向き合うんだろうかっていう風に考えて、そこからこの脚本を書くにいたりました。

チュウ・ピン監督©台湾映画上映会2026

リム なるほど、リサーチの結果から要素を取り入れたわけですね。最初はどうして刑務所の人に取材しようと思ったんですか? あるいは最初はどんな構想でこの映画を作ろうとしてたんですか?

チュウ 実は私は映画監督の仕事とは別に建設現場で水道や電気の配管の仕事もしてるんですけれども、そういう職場環境には、周りにけっこう前科のある人、刑務所を出てきた人がいるんですね。そういう人たちと仕事をする中で、色々と話を聞いてストーリーを組み立て始めたわけです。

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🄫台湾映画上映会2026

リム この映画はチュウ・ピン監督の長編デビュー作ですが、その前に作られた短編映画も労働者たちや、社会から外れてしまって生きている人々の話が多いですよね。

チュウ これは私の育ってきた環境と関係があるんですが、私の親は野菜などの卸売りをしていました。映画の中にも、果物の市場が出てきたと思うんですけれど、私の育ってきた環境というのもああいうところです。そこで働く人たちとの交流は、私にとってとても親しみを感じるものなんですね。それで、映画の勉強をするようになってからもずっとそういう人たちに関心を持ってきました。

制作は台湾の公共放送局

リム 映画に出てきたその果物の物流センターは、ロケーションとして素晴らしいですね。また監督は黒社会の人ではないし、同性愛者ではないですが、とてもリアルに表現されています。

リム・カーワイ監督©台湾映画上映会2026

チュウ 自分が理解できてないところを映画の中で細かく描くっていうのは非常に難しいと考えました。なので、それよりも人物の感情の部分、それは映画の核心の部分ですが、それをどう描いていくかに重点を置いて考えるようにしました。背景をきちんと描いていれば、観客は描いていないところも想像して理解してくれるんじゃないかという風に考えたので、そんなに不安は考えなかったです。

リム この映画は台湾のテレビ局で作られた映画ですよね。台湾の公視という公共放送局で、日本で言うとNHKです。そこがなぜこの映画を作ることになったのでしょうか。