ちなみに、2022年の春までは1日に1本だけ中央線から直通する「箱根ケ崎行き」の電車があった。行き先表示を見て「箱根ケ崎とはどこなのか」と気になっていた。“箱根”とあるからには、ロープウェイや海賊船があるのかしらん。
……もちろんそんなハズもないのだが、とにかく謎めいていた箱根ケ崎。今回は数年来の念願叶っての、“いまはなき終着駅の旅”でもあるのだ。
さて、拝島駅で八高線の電車に乗り継ぐと、右側に横田基地を見ながら北上。東福生駅を間に挟み、10分弱で目的の箱根ケ崎駅に到着する。かつては中央線の終着駅でもあり、いまでも1日にほんの数本は八高線にも「箱根ケ崎行き」のあるナゾの駅。だからきっと、立派な駅に違いない。
と、思って箱根ケ崎駅に着いたのだが、これが1面の細い島式ホームがあるだけの実に簡素な駅であった。パラパラと降りる人もいるのだが、そもそも平日の昼間、八高線に乗っているお客自体がそれほど多くない。
ところが、階段を登って橋上の駅舎に出るとこれがびっくり。ホームとは裏腹に、たいそう大きく立派な橋上駅舎なのである。改札内は狭くても、駅の東西を結ぶ自由通路は驚くほど広いのだ。
“埼玉県の村”が東京に取り込まれ…
それもそのはずで、この駅は東京都瑞穂町の玄関口なのだ。町といっても人口は約3万人、東京郊外の立派なベッドタウンだ。1940年に箱根ケ崎村ほか3つの村が合併して誕生、戦後には都県境を跨いで埼玉県の元狭山村(の約3分の2)も編入している(1958年)。

