つまり、箱根ケ崎は青梅街道と日光街道が十文字に交差する、交通の要衝なのだ。東京西部にあっては、現在は拝島駅が似たような役割を持つ。JR青梅線・五日市線・八高線と西武拝島線が交わる、多摩地域きっての交通の要衝だ。その役割を、鉄道以前の時代に担っていたのが箱根ケ崎なのである。

現在は上北台駅までの多摩モノレール。それが箱根ケ崎駅まで延伸される予定だ

 また、町の北側の高台には、狭山ヶ池というかつては10万㎡もの広さを持つ池があり、景勝地として名を馳せていたという。のちに玉川上水の水量確保のために残堀川への流出量を増やされてすっかり規模を小さくしてしまった。それでも、いまも周辺は公園として整備され、この町の名所のひとつになっている。

 この池はまたの名を“筥(はこ)の池”といい、転じて箱根ケ崎の由来になった、などというエピソードもある。箱根は箱根でも、やっぱりロープウェイも海賊船もここにはなさそうだ。

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 そんな歴史がいまも根付いた街道の交わる要所の地・箱根ケ崎。駅や中心部からさらに離れて歩いても、本質的にはこの町は住宅地なのだろう。かつては野山ばかりだったであろう、狭山丘陵の麓に広がる武蔵野の地も、いまやすっかりベッドタウンだ。

新青梅街道。この上空をモノレールが通る予定だ
もう少し歩くとこんな風景が広がっていた

 モノレールが上空を通る予定の新青梅街道に出れば、ラーメン山岡家の看板がきらめきを放ち、その南側にはラブホテルや小さな町工場がいくつか並んでいた。いささか武骨な空気感があるのは、軍事都市として発展した立川に近いがゆえのものなのか。

 さらに南には、広大な空き地が広がっている。古い地図を見ると、どうやらこのあたりは一面の桑畑だったようだ。モノレール延伸は2030年代半ば以降なのだとか。その頃には、この草むす空き地も姿を変えているのだろうか。

撮影=鼠入昌史

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