産まれた瞬間、医師は「なるほど」と言った

――超音波検査のときに見たままの赤ちゃんだったと。

しほ そうですね。「確かにエコーで見た子だ」っていうのが1つ。あともう1つ、「新生児なのに目が開いてる」と思ったんですよね。生まれたばかりの赤ちゃんなのに、めっちゃぱっちり目が開いてると思ったんです。

妊娠時のエコー写真(写真提供=本人)

 あとすごく印象に残っているのが、取り上げてくれた先生が赤ちゃんの顔を見て、「なるほど」と言ったことでした。なんでそんな言葉が先生から出たかというと、出産前、何度エコーで見ても目のことについてはよくわからなかったんです。

ADVERTISEMENT

「眼裂」って、要は目の裂け目のことなんですけど、「眼裂が眼球とズレているのかもしれない」と言われたことがあって。

――眼球の位置と目の裂け目がズレている?

しほ 斜視みたいな感じかなとか想像したんですけど「それってどういうこと?」って感じですよね。「眼裂の中に眼球がないこともあり得ますか?」と聞いたら、「さすがにそれはないと思うけど……」と、結局最後までよく分からなかったんです。

 それで出産日に赤ちゃんを取り出した先生が、「あ、なるほどね」と言ったんですけど、それは、「ああ、まぶたがなかったのか」という「なるほどね」なんですよ。私も顔を見た瞬間、「目めっちゃ開いてる」と思ったぐらいぱっちりしていたので。

――言葉はあれですけど、医師として非常に興味深い症例だったということですよね。

しほ そうだと思います。先生の中では、言い方は変ですけど、謎がとけてスッキリしたような感じだったのではないでしょうか。

――まぶたがなかったという以外にも、頭蓋骨の一部が欠損しているなど、さまざまな症状があったということですが、治療的なこともされたのでしょうか。

しほ それで言うと、確かに目のことも頭蓋骨が欠損していることも前例がないので手探りの部分は多かったんですけど、それ以外の小顎症とか小耳症、嚥下障害などは決して珍しいことではないので、前例に沿って治療や処置をしてもらいました。

 目はNICUにいるときから軟膏を塗ってラップをしていましたが、その処置自体も珍しいものではないというか。

©杉山秀樹/文藝春秋

――目をうまく閉じられない障害がある方で、同じ処置をしているのを見たことがあります。

しほ そうなんですよ。まぶたが全欠損している前例はないけれども、いろんな障害がある方で目が閉じられない人がいるので、その例に沿って、という感じだったんです。

 ただ、遺伝子検査をしても染色体検査をしても異常はなく、当てはまる病名もないので、今後どういった発達をしていくかは分からない状況ですね。(つづく)

次の記事に続く 「顔を見たら、涙が止まらなかった」“まぶたと頭蓋骨の一部がない”赤ちゃんを出産…それでも母が、子どもの『障害』を受け入れて前を向けたワケ