いつか口から食べられるよう、練習を重ねている

――味見もするんですか?

しほ 一応します。お口から食べさせる練習もしているところなので、一応おいしいところで着地するようにやってますね。

――お父さんとお母さんがご飯を食べる様子を見て、未来くんも口から食べたくなったりするものですか。

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しほ じーっと見てくることは意外とないんですけど、たぶん「世の中には口から食べる人もいるんだな~」くらいの認識で、本人は特にその必要性を感じてないというか。

星野孝輔さん(以下、孝輔) どちらかというと嫌いだよね、口から食べるのは。気管切開をしていて鼻を使っていないので、それも大きいと思います。

 要するに、今のみーくんの状態だと鼻をつまみながら食事しているようなものなので、においもないから味もはっきりしないのかもしれないです。

この日、インタビュー中にも経管での栄養摂取を行っていた ©杉山秀樹/文藝春秋

しほ 触れるものに対して敏感なところもあって、口に何か入れることに慎重になっているというのもありますね。

――未来くんが食べたもので、テンションが上がったものとかってありますか。

しほ あんまり喜んだものはないんですけど、この前リンゴジュースを口に含ませたらすごい顔をしていたので、酸味は感じてるのかも。

 今は嚥下の訓練をしていて、ジュースをピュッとスポイトみたいなので口に入れてあげて、それを飲み込ませる練習をしています。

 食べさせちゃいけないものがあるわけではないんですが、ごっくんする力が弱いので、誤嚥して気道から肺に入るようなことがないよう、すごく慎重に進めています。最初は5口だったのが、徐々に増えているような感じですかね。

育児のため、孝輔さんは会社を退職

――ケアが必要なことも多いと思いますが、お仕事はどうされているんですか。

孝輔 2人とももともと正社員で働いていたんですけど、僕は2年間育休を取って、その後に会社を辞めてフリーになりました。

©杉山秀樹/文藝春秋

――未来くんの育児のために働き方を変えたということですか?

孝輔 そうです。早々に、2人とも社員のままでは難しいだろうなというのはわかっていて。病院のこともありますし、平日の日中もフレキシブルに対応できる人が必要ですから。妻か僕かどっちにするかということだったんですけど、当時は妻の収入の方が僕よりかなり高かったので、妻が会社に残って、僕はフリーとして働くことにしました。僕はもともと社員の頃から映像制作の副業で、多少の稼ぎはあったので、そちらにシフトしたかたちですね。

しほ 今は障害児保育園に入ることができたので、私は元の職場に復帰しました。ただ、保育園的に、何かあった時のために30分以内で駆けつけられる場所にいてほしいという制約があったので、会社に融通を利かせてもらって、在宅勤務かつ時短で働いています。