自治体のサービスも手厚く、共働きを維持できている

――国や自治体の支援で助かっているものはありますか。

しほ うちの自治体のサービスなんですけど、福祉車両の貸し出しサービスに運転ボランティアを付けられます、というのがあったんです。最初に知った時には感動しましたね。

――手厚いですね。

ADVERTISEMENT

しほ もともとは高齢者用のサービスだそうですが、それをリハビリさんから教えてもらって。で、リハビリさんはいろんな年代の方を見ているので、「あなたのお家でも使えるんじゃない?」って言ってくれたんです。

 小児の前例はなかったみたいなんですけど、身体障害者手帳を持っているし、車いすにも乗っているので、利用条件には合致していたことで、晴れて使えることになりました。何が助かるかって、みーくんは痰がたまるとすぐに吸引してあげないといけないので、病院に行く際にも、運転する人とケアする人、大人2人が絶対に必要なんです。

©杉山秀樹/文藝春秋

孝輔 病院はどうしても平日しかやっていないので、そうなるとどっちも仕事を休んで行かないといけない状況がずっと続いていて。多い時で月10回病院に行くこともあったので、20営業日で10回ってどういうこと? みたいな。

しほ だからこのサービスは本当にメチャメチャありがたくて、私たちの生活も激変というか。片方仕事を休まなくてよくなったのは大きいですね。

――収入に直結しますもんね。

孝輔 そうそう。介護車両を買ったんですけど、これも自治体の助成で、介護車両の消費税がかからなかったんです。あとは、ある一定の金額までは金利なしでお金を借りることができるという補助もありました。

――お住まいの自治体が福祉に手厚かった?

孝輔 もともと障害や病気に関係なく、子育て全般に対して支援が手厚いみたいです。本当にたまたま住んでいただけなんですけどね。

©杉山秀樹/文藝春秋

しほ ネットで、障害児のお子さんの預け先がなくて母親が仕事を辞めざるを得なかったといった声をたくさん見ていたので、私も仕事は無理かもなと思っていたんです。

 でも、蓋を開けてみたら意外とサポートが多かったこともあり、なんとか共働きを続けることができたわけですが、それもこの自治体にたまたま住んでいたからなんですよね。だから願うのは、全国でなるべく地域格差がなくなってほしいなと。

孝輔 障害児保育園については都内でも数カ所しかなくて、それがたまたまうちの近所にあった。入れたこと自体も奇跡だったんです。

 そういった本当に偶然、恵まれた環境だからやれているというのは大きいので、全国どこでも育児と仕事が両立できるようになってほしいですね。

――住んでいる地域によって子どもが受けられる支援に差が出るのはおかしいですよね。格差が是正されないと引っ越しも難しいのでは?

孝輔 そう、逆に恵まれているからこそ引っ越すことができなくなっちゃって。本来であれば、妻はリモートワークで僕もフリーランスだから、自分たちの好きなところに住めるはずだし、何ならもっと家賃の安いところに引っ越したいんですけど、選択肢がないんです。(つづく)

次の記事に続く 「おでこや頬の骨が、ない」“世界でも珍しい障害”を持つ3歳男児『おもちくん』が経験してきた“数々の手術”と、両親の想い「あなたがいて幸せって、伝えたい」