研究員として哲学を学び見えてきたもの

――5月に刊行された『思考のストレッチ』の中では、研究員を辞めて会社員1本になったと書かれてましたが、研究員としてどのように哲学に携わっていたんですか?

田村 基本的には、本を読む、議論する、論文を書くの3つですね。ただ研究員になると、個人の研究プロジェクトとは別で、大学の予算を使った研究プロジェクトにも関わる必要があって。大学が設定した研究プロジェクトのシンポジウムを開くために人に声をかけて、その人たちと一緒に議論したりして、1つの論集を作ったりしていました。

――研究員を辞めて会社員1本でやると決めたのはなぜでしょう?

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©佐藤亘/文藝春秋

田村 研究員のその先のキャリアを見据えていったときに、大学のなかに居続けたからといって純粋に研究に打ち込めるとは限らない、ということがずっと不安だったんです。任期なしの職につくことができるかどうかは巡り合わせの要素も大きいし、それまでは短い任期で何度も就職活動をしなければいけない。そういった不安のなかで研究を続けられる自信がなかったので、いっそ会社に勤めて、気楽に取り組めるようにしたほうがいいんじゃないかと思ったんです。

――研究員時代と、哲学との関わり方は変わりましたか?

田村 いまの生活スタイルで専門的な研究に携わり続けることは難しいので、そこは試行錯誤しているところです。他方で、割ける時間が少なくなった代わりに責務ではなくなったので、「哲学」というジャンルにあえてこだわらず、好きなことを考えて・書いていいんだな、という開放感もあります。

 あんなことも考えてみたい、こんなことも考えてみたい、というのがいろいろあるなかで、どこに軸を作っていくかがこれからやりがいのあるところなのかなと。『思考のストレッチ』には、今後の活動のなかで大きく育っていくかもしれないモチーフをたくさん散りばめてみたつもりです。

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