Q 国家公務員総合職のうち、東大生の合格者が減少。なぜだと思いますか?

 今年6月、2017年度の国家公務員総合職の合格者が発表されました。そのうち、東大生の合格者が減少したそうです。財務省の不祥事をはじめとした報道などによって、官僚の仕事が「割に合わないなあ」と思ったんでしょうか。池上さんはどう思われますか?(20代・男性・学生)

A 大学生の就職希望先ランキングで、その時代の花形職業がわかります。

「官僚主導」と呼ばれた時代、大蔵省(現在の財務省)や通産省(現在の経産省)に入れば、やがて日本という国家の舵取りができる。そんな誇りを持って国家公務員を目指した東大生は多かったものです。 

 しかし、「政治主導」の掛け声で政治家が上位に立って官僚を使うようになると、政治家への忖度に汲々とする官僚たちが出現します。そんな先輩の姿を見たら、官僚になりたくなくなるのは当然のことでしょう。

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 だからといって、官僚主導に戻ればいいというものではありません。国民から選挙で選ばれた政治家が主導するのは当たり前なのですが、官僚のやる気を削ぐような振舞いをしてはいけないのです。

東京大学の赤門 ©getty

 また、大学生はいつの時代もトレンドに弱いもの。終戦直後の大学卒業生にとって憧れの職業は繊維産業であり、石炭産業でした。「白と黒」が花形だったからです。

 しかし、繊維産業は海外に移転し、エネルギー革命で石炭産業は斜陽になりました。

 私が大学生のとき、優秀な同級生の多くは銀行に進みました。金融不安になると、就職希望者は激減。このところのトレンドは投資銀行業務や起業だとか。

 大学生の就職希望先ランキングで、その時代の花形職業がわかります。景気がよくなると官僚志望者が減り、景気が悪くなると安定した公務員志望が増えるという傾向もあります。

 でも、経済の動向は読めないもの。いつ逆転が起きるかわかりません。人気投票のような気持ちで就職先を選ばないことが重要なのです。

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