丸亀製麺が「香川県民ウケしない」根本原因

 まず絶対的な問題として、味が違う点はよく話題になる。県内の讃岐うどん店と丸亀製麺の大きな違いは「カタクチイワシ(いりこ)」だ。

 香川県のうどん店は、いりこを出汁のメインに使うことで、その強い香りを生かしている。対する丸亀製麺は、看板に「讃岐うどん」の表記を掲げてこそいるが、いりこを使用していない。手に取ったかけうどんの香りを嗅いだ瞬間、さっき看板で見た「讃岐うどん」の呼称に疑問を抱いてしまう人は少なくないはずだ。

丸亀製麺の店内に掲示している飯野山(讃岐富士)の写真。しかしその近隣地域に丸亀製麺は1軒もない(筆者撮影)

 讃岐うどんの出汁に関する問題は、ChatGPTやGeminiなどのAIツールに聞いても「いりこがメイン」と一致するほどに、当たり前の話だ。もし丸亀製麺に「讃岐うどん」の表記がないなら「別物だけど、美味しいうどん」として歓迎されるだろう。しかし、丸亀製麺は看板だけでなく店内には香川を代表する山・讃岐富士と呼ばれる飯野山の写真など”讃岐要素”を随所にちりばめている。なのに、出汁が違う。

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 もう1つ、今の丸亀製麺は「日常食」としての県民の相場と合わない。香川県ではうどん価格に対する認識が昭和末期~平成初期の「うどん1杯100円、天ぷら60円」で止まっている人々も多い。実際、はなまるうどんも2000年5月の創業当時は「うどん1杯105円」であった。

 直近の客単価で見ると、丸亀製麺はコロナ前から500円台後半をキープ、はなまるうどんは400円~500円程度。このあとに価格上昇ラッシュが続いたが、両社の客単価の差は大きい。

 きっかけの1つとなったのは2014年8月、丸亀製麺が期間限定メニューとして投入した「肉盛りうどん」だ。牛肉の煮込みを従来の2倍も盛り付けた分、価格はこれまでの限定メニューの相場であった「400円」の相場を大きく上回る「590円(並)」。あまりの高単価に社内でも議論が分かれたというが、同社初の全国テレビCMを放映する勝負に出た。

 結果的に売り上げが伸び、以降は新商品をプッシュする流れに。「トマたまカレーうどん」「タル鶏天ぶっかけうどん」などの大ヒットを連発した。ホームページに「セルフって、気軽。セルフって、自由。セルフって、本場」と明記し「うどん+天ぷら」の基本を崩していないはなまるうどんとは対照的だ。

 店内を見渡しても、丸亀製麺は高単価商品が多く、はなまるうどんは「かけうどん+α」を食べる人が多い印象を受ける。単価向上を企業の成長に繋げた丸亀製麺は全国で急成長を果たしながらも、香川県では「うどん1杯でそんなに取るんか? おっとろしげ(讃岐弁で「近寄りがたい」)やのぉ!」と見られた面もあるのではないか。