それでもほしい「香川県のお墨付き」

 丸亀製麺を運営するトリドールホールディングスは、年間2787億円ほどを売り上げ、約106億円の営業利益を生み出している(2026年3月期)。47都道府県で人口ワースト10の香川県で不振であったとしても、別に対策を取らなくても良い……と考えるのは早計だ。

 讃岐うどんの本場で複数の閉店が生じてしまう現状は、本場での支持の薄さが可視化されているようなもの。ブランド戦略として不都合すぎる。創業者・粟田貴也氏はかつて自著で、香川の“製麺所型うどん店”を訪れた印象を基に丸亀製麺を創業した、と語っており、ブランドの原点が香川県にあることを隠していない。にもかかわらず、その香川県で支持が広がらないのは由々しき事態だ。

公式サイトでも「讃岐リスペクト」をアピールしまくっている

 現状を打破するための対策として、丸亀製麺はここ数年にわたり大胆な施策を打ち出している。

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 例えば、2022年4月に丸亀市と「地域活性化包括連携協定」を締結、同社の研修施設がある離島へのフェリー施設の改修費用や、国重要文化財・丸亀城の石垣修復費用まで拠出している。子ども食堂へのキッチンカー提供なども行っており、松永恭二・丸亀市長いわく「申し訳ないくらいに(支援を)いただいている」そうだ。

 香川県丸亀市との協業で2025年11月に開催した「丸亀うどん祭り2025」も話題を呼んだ。

 上戸彩さん・松岡昌宏さんなどのビッグネームが次々とゲストで登壇し、「よしや」「ジャンボうどん高木」など名店のオリジナルうどんを提供しつつ、丸亀製麺のうどんを打ち出さなかった。「自社のうどんを売らずに、地域活性化に徹する丸亀製麺」の姿が印象に残るイベントであった。総勢315人が3種類のうどんを一斉に試食する「最大のうどん試食イベント」も無事にギネス記録を達成。「丸亀製麺が本場・香川でギネス達成」のニュースは全国を駆け巡った。

「包括協定による地域貢献」と「うどん祭り」など、大胆なイメージ向上策で、丸亀製麺は香川県への定着を狙っている。ただ、多くの人々が違和感を覚える味・価格帯・讃岐うどんの看板を変える様子はなく、こういった地域貢献はあくまで「自社商品を“讃岐うどん”と承認してもらうための布石」とも言えるだろう。

「はなまるうどん」社長はどう思っているのか?

 香川県内でも若い世代は、出汁・麺へのこだわりを持たない人々も増えてきた。このまま丁寧にアピールを続けることで、香川県内で「丸亀製麺は讃岐うどん」と認める人々が主流になる日も来るだろう。もちろん県外では、讃岐うどんであるかどうかを気にしない人の方が大多数であり、「丸亀製麺が美味しいから行く」ファンは、しっかりと根付いている。

 オリジナリティを守りつつ、本場のお墨付きも欲しい丸亀製麺の試行錯誤は、まだまだ続くのだろう。一方で、業界2位のはなまるうどんも負けていない。丸亀製麺とは違い、讃岐うどんの本場・香川県で創業したプライドを隠さずに、県内でさまざまな取り組みを重ねながら「逆襲」のチャンスをうかがっている。

 続く記事では、そんなはなまるうどんの運営企業社長が明かす「丸亀製麺」や「資さんうどん」への思いや、捲土重来を期して香川で進める施策などを見ていく。

次の記事に続く 売り上げ規模、店舗数では丸亀製麺に“完敗”なのに…「はなまるうどん」が、香川県でだけ“圧勝”を続けられるワケ

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。