無知をさらけ出し、平然と嘘をつく政治家たち
内田 興味深い現象ですね。日本でも素行の悪い議員はいくらもいます。でも、「選良」にはあり得ない行状が報道されても、政党の人気にはあまり影響しない。
近年の選挙では候補者が「政策的なことはわかりません。これから勉強します」と自分の無知や無能を平然とカムアウトします。その方が有権者に受けると思っている。平然と嘘をつき、食言する政治家もむしろそれゆえに人気がある。そういうやつは討論になると分がいいんです。堂々と嘘をつく人は見栄えがいい。
トランプ支持者も多くは「トランプが道義的な人間ではない」ということを知っていて支持している。高市支持者たちも彼女の政治的主張に一貫性があるから支持しているわけではない。前に、高市支持者に「どうして高市がいいの?」と訊いたら「かわいいから」と言われました。テレビで見ると尊大な女に見えるけれど、支援者たちの前に来ると、トランプの時みたいに、くねくねして「ご支援お願いします」と懇願するんだそうです。おじさんたちにはそういうのが「かわいい」らしい。
ブレイディ 高市さんはイギリスの元首相サッチャーを目標にしていることを公言していますが、サッチャーって当時のドキュメンタリー映像などを見ると、中年の女性たちに熱烈に支持されていたんですね。追っかけの主婦たちが出たほどに。
1970年代後半は、それまでの「ゆりかごから墓場まで」の福祉社会が機能しなくなって労働者の男たちの不満が溢れ、一方、若い世代はヒッピー文化の影響もあって奔放になっていた時代です。そんな中で「家庭を運営している女性なら誰でも国家運営の問題も理解できます」と、歯に衣着せぬ発言で男たちのお尻を叩いたサッチャーの「強い女」像に、虐げられてきた女性たちは溜飲を下げたわけです。福祉政策を次々と切り捨て、新自由主義を強行したにも関わらず。高市さん人気の現象も似た側面があるように思います。
内田 高市首相が外交の場で他国の政治家ににじり寄るのは、女性から見て気持ち悪くないですか。
ブレイディ そこはけっこう反発が出てますよね。もちろん、一口に女性といっても様々ですが。
