「木山は警察の捜査を逃れるため、戸籍上の名前を『西田』に変えていた。その後も『西方』『小畑』と頻繁に改姓した」(捜査関係者)
その頃、木山はインスタグラムを通じ、ある人物にSOSを求めている。
「今世間をお騒がせしているナチュラルの木山です。今、所沢にいるんですが、助けてもらえませんか」
「歌舞伎町に返り咲きたい」
送った相手は、埼玉県随一の不良で知られる「所沢のタイソン」こと久保広海氏だ。久保氏が振り返る。
「電話で話した後、喫茶店で会いました。服装はシルバーのモンクレールのジャケットにナイキのスニーカー。『そのジャケットくれよ』と言うと『勘弁してくださいよ』とペコペコしていた。木山はずっと『悔しい、悔しい』と繰り返すんです。『反社に負けたくない。力になってください。やり返したいんで』と、懇々と言っていた。俺には礼儀正しくいい奴だった」
木山は「歌舞伎町に返り咲きたい」と訴え、久保氏の協力を取り付けた。ここでも、本名や出身地を明かすことは嫌ったという。
「あいつに『地元どこ』と聞いても隠す。過去のことはマジで喋んない。連絡先を交換したんですが、奴が使うのは(秘匿性の高いアプリである)シグナルとかテレグラムだった」(前出・久保氏)
ナチュラルへの「スカウト狩り」は、奇しくも彼らに好転の機をもたらした。
「彼らは暴力団側と手打ちして以降、“共闘関係”を結んだ。結果的に勢力を拡大する原動力になったのです」(前出・捜査関係者)
木山と十年来の付き合いのある旧友が言う。
警戒心と礼儀
「ナチュラルのメンバーは、トラブると必ず木山さんを呼ぶ。彼は昼夜問わず遠方にいても『今から行きます』と、絶対に駆けつけてケツを拭く(トラブル処理をする)。自分のところの若い奴に非がないと分かると攻撃に転じ、歌舞伎町の駐車場で数人相手に1人ひとりタイマン張っていましたね」
トラブル解決に万全を期すため深酒を厳に慎み、仲間に対しても過剰なまでの警戒を怠らなかった。
「写真は絶対に撮らせず、『LINEは流出するから怖い』と言って、連絡は常に電話か、ショートメッセージだった」(同前)
「警戒心」に加え、木山を象徴するキーワードの1つが、徹底した「礼儀」である。ある警察関係者が、木山の印象について語る。
「常に敬語で腰が低く、まるで企業の社長のよう。面識のある捜査員に対しては開口一番、『うちの奴が迷惑かけてすみません』と話していた。私はヤクザの直参クラスや怒羅権の幹部など様々な人間を見てきましたが、木山はずば抜けて礼儀正しかった。『付いてくる人間もいるだろうな』というのが正直な感想です」
