リム とても感動的ですね。この作品は映像がスタンダードサイズですよね。そして形式的にこだわりがあって、カメラが動かない。フィックスで、しかも全部引きの画ですよ。アップがない。これはなぜでしょうか。

リム・カーワイ監督©台湾映画上映会2026

ツァオ 私は台北芸術大学で脚本や映画の撮り方について勉強しました。カメラを固定していることや、あるいは寄りがないのは、私のものの考え方から来ています。東アジアあるいは台湾の、文化的な背景を考えたときに、個人の決定にはその背景にいろんな要素があると思うんです。それは自分の過去であったり、あるいは家庭だったり社会だったり、もっと大きく言うと、台湾は強権的な国の対岸にある島ですから、地政学的なことを考えなければいけない。そうした様々な背景の影響を受けているということを、映像を通してどう伝えていくか。そのときに流れているニュースや、選挙の看板、あるいは戦闘機が飛ぶ音が入ってくる。実際、96年には戦闘機が飛ぶ音をよく聞きました。私が住んでいたところのすぐ北側には空軍基地があって、しょっちゅう戦闘機が飛んでいたんです。そうしたレイヤーが重なって、個人っていうものにつながっているんだということを表現するには、カメラを引いた位置に置いて動かさない手法が有効だと考えたのです。

ツァオ・シーハン監督©台湾映画上映会2026

「誰に投票する?」「トランクス」

石坂 今の話すごく面白いですね。レイヤーっていう言葉がでましたが、15歳の主人公がいて、その外側に家族がいて、お父さんとお母さんが喧嘩してたりっていうのがある。さらにその外側にお父さんがやってるビジネスの話、つまり台湾の経済があって、さらにその外側に国際情勢があるっていう、レイヤーになってるなと感じました。それを一度に味わうと色んな味がするみたいな感じがしたんです。

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 会場からは、総統選挙の街頭インタビューで、主人公の弟が「君なら誰に投票する?」と聞かれたときに、「トランクス」と答えたやり取りについて質問が出た。「もしかして鳥山明の『ドラゴンボール』の登場人物のことで、そうならどういう思いがあってそのセリフになったかを聞きたい」。

🄫台湾映画上映会2026