ずっと未読のままのLINE

――これは夢だ。

 そう言い聞かせるが、体の震えが止まらない。気になってもう一度見てしまい、立っていられず、その場にへたり込んだ。狂いそうになる気持ちと「そんなわけないだろ」という苛立ちが交錯する。午後二時三四分、真菜にLINEで「無事でいてくれマナりこ」と送ったが、ずっと未読のまま。

――さっき電話した、普通に生活していた二人が、一瞬にして居なくなるわけないだろ。

ADVERTISEMENT

 電車に乗っていたときの記憶は完全に欠落している。新宿駅で下車し、甲州街道沿いの路上で警視庁の男性警部補ら二人と落ち合った。警部補から受け取った名刺の肩書きには、「犯罪被害者支援室」と書かれていた。それを見た僕の身体はガクンと崩れ落ち、地面のアスファルトに両膝がついた。

――被害……被害……。そうか、自分は被害者なのか。真菜と莉子が被害を受けたのか。

 信じたくなかった現実を突きつけられた。警部補らとともに警視庁のバンに乗り込み、病院に向かう。警部補に真菜の容態について聞くと、顔を歪ませながら「答えられません」と話し、二人が事故に遭ったことだけを説明した。このときの記憶もない。ただただ、地獄の時間だった。

 病院に到着し、警部補の案内で診察室に向かった。部屋の近くの椅子に座っていた両親が立ち上がって「拓也」と抱きついてきた。一人で診察室に入り、医師の前に座った。