戦後81年。戦争を直接知る世代が少なくなる中、モノクロ写真を彩色することで、当時の人々の息遣いを現代に鮮やかに蘇らせた一冊の書籍がある。『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(光文社新書)だ。
2020年の発売から6年が経過した現在でも、SNSなどでたびたび写真が拡散され、大きな反響を呼び続けている。戦前・戦中という遠い過去の記録が、なぜ現代を生きる私たちの心をこれほどまでに揺さぶるのか。
企画の立ち上げから現在に至るまで、本作の伴走者として制作の裏側を知り尽くす担当編集者に、異例のロングセラーとなった理由と、出版後に起きた「奇跡のエピソード」について話を聞いた。
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話があまりにもスムーズに進みすぎて…
――本書は発売から6年が経過した現在もSNSなどで話題に上ります。まずは企画の成り立ちから教えてください。著者は東京大学大学院教授の渡邉英徳氏と、当時高校生だった庭田杏珠氏ですが、この異色のタッグは、どのようにして生まれたのでしょうか。
担当編集者の髙橋恒星氏(以下、髙橋) もともと、渡邉先生のSNSをフォローしていて、「○○年前の今日」という一言とともにカラー化された写真が日々アップされているのを拝見していました。時を同じくして、当時まだ高校生だった庭田さんが、渡邉先生の教えを活かして広島の方々のアルバム写真をカラー化しているという活動を、朝日新聞の記事で知ったんです。
このお二人の取り組みを合わせれば、これまでにない視点の写真集が作れるのではないか。そう直感し、すぐに行動に移しました。
――お二人にはどのようにアプローチされたのですか?
髙橋 渡邉先生に依頼のメールをお送りした数日後には、東大の研究室へ伺ってお会いすることになりました。そこで企画の趣旨をお話ししたのですが……実は話があまりにもスムーズに進みすぎて、打ち合わせがたった30分で終わってしまったんです(笑)。
お互いの頭の中にある完成形のイメージがすんなりと共有できたので、「これはいける!」と、その場で強い手応えを感じたのを覚えています。
それから1か月後に広島へ行って、当時高校生だった庭田さんとお母様にお会いして、企画の説明をしました。庭田さんから「受験が終わったら」とご快諾いただくとともに、この活動に込めている思いをたくさん話してくださり、「これは多くの人に届けないと」と強く感じたことを覚えています。





