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控訴するも、東京高裁は1954年9月29日にこれを棄却し一審判決を支持。あとは最高裁の判決を待つのみとなった。
兄から届いた「思わぬ手紙」
そんなある日、菊池のもとに兄から思わぬ手紙が届く。
〈おまえのせいで母親が村八分に遭っており、大変苦しんでいる〉
自業自得とはいえ、母親思いの菊池はひどく苦しみ、そして思う。“おかやん”に一目会いたい。そのためには脱獄するよりない。本気だった。
脱獄のためには、まず窓の鉄格子を切断しなければならない。そこで、別の死刑囚を介して、兄からの差し入れの雑誌を受け取る。
雑誌には一つの細工が施されていた。記事中の文章のひらがなに点が付けられており、それを組み合わせると「せびょうしのうら」となった。
兄が雑誌の「背表紙の裏」に金ノコを隠していたのだ。
菊池は仲介役の死刑囚が読み終わった後、雑誌を受け取り金ノコを回収。また脱獄に必要な縄は布切れをつなぎ合わせて作り、脱獄後の食料となるパンなどを仲間に分けてもらい、水を含ませ欠片にした後、再び干すことで保存食として蓄えた。
さらには、兄と秘密裏に連絡を取り合い、脱獄後は宇都宮の総合グラウンドで落ち合うことを約束。菊池はどこまでも用意周到だった。