近づいて見ると、トンネルの手前にロープが張られていて、立入は禁止されているようだ。何しろ廃止されたのは1971年のこと。半世紀以上もほったらかしにされていた廃トンネル。崩落の危険もあるだろうし、野生動物の巣になっている可能性だってある。
そういえば、駅前で地元の人に「太子まで行く」と話したら、「熊に気をつけてね」と言われていた。立入禁止のロープを越えてまでトンネルの中に入るなんてことは、とてもじゃないけれどできるわけがない。
なので、白砂川対岸の国道292号を迂回する。次に廃線跡に巡り会えるのは、約3kmほど北に進んで国道が出立大橋で白砂川を渡ったあたりだ。いくつものトンネルで山を抜けてきた太子線は、ここで国道に合流する。
“2連続のトンネル”を抜けると…
廃線後、その用地の一部を国道に転用したのだろう。ただ、すぐに国道合流区間は終わりを告げる。国道の右手に生活道路のような、また農道のような細い道が分かれてゆく。古い地図と照らせば、どうやらこちらが太子線のようだ。
この道を進んでゆくと、またもやトンネルが見えてきた。先ほどのように封鎖はされていないから、中に入ることができる。歩いて抜けることもできるし、この幅ならばクルマ1台くらいはなんとか通ることができそうだ。国道の抜け道、また地元の人の生活道路としていまも現役なのだろう。
短いトンネルをふたつ抜けると、小さな橋を渡る。この橋も一見するとごく普通の道路橋なのだが、もとは鉄道橋。それを補強して舗装し、道路橋として使っているようだ。橋を渡ってからも、生活道路が続いてゆく。
“ナゾの巨大コンクリート建造物”の正体は…
少し視界が開けると、白砂川沿いの里山風景。道沿いには民家もあるし、畑や田んぼもちらほらと。川の向こうはかつて養蚕地として栄えた赤岩の集落だ。古い蔵などがいまも残り、重要伝統的建造物群保存地区に指定されているという。
そんなのどかな里山の中をずっと北へと歩いてゆくと、コンクリートのでっかい構造物が見えてきた。




