近年、トヨタが「ハンマーヘッドデザイン」と呼ばれるヘッドライトを採用する車種を増やしている。トヨタと言えば“80点主義”を標ぼうし、万人ウケするクルマで業界をリードしてきた印象もあるが、なぜ一部で「ダサい」「どれも同じに見える」といったマイナスの声もあるなど賛否両論のデザインをプッシュし始めたのか。
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1990年代まで、エンジンは長い時間をかけて熟成されることが多く、クルマの進化は今よりもかなりゆっくりだった。スタイリングも空力性能よりも個性を重視し、それはそれはユニークなデザインのクルマが数え切れないほどあった。
大昔、ヘッドライトはレンズ一体型の電球で丸型、もしくは角型のシールドビームが基本だった。欧州では大型のヘッドライトレンズをもつクルマもあったが、米国ではヘッドライトバルブが切れた場合にもすぐに交換できるよう、規格化されたライトを備えることが義務付けられていたのだ。
そして1970年代に入ると空力性能を高めて高性能ぶりをアピールするために、格納型のヘッドライトが登場した。スーパーカーの必需品と言えるほどまでになったほか、日本のスポーティカーにも続々と採用された。
1980年代には異形のヘッドライトレンズが登場し、プロジェクター型の光源が開発されると、ヘッドライトは一気に薄型、さらに傾斜したスラント化へと進化していったのだ。空力性能の追求や冷却性能の最適化によってフロントマスクはグリルレスが主流となって、ヘッドライトのデザイン性がより重要になっていく。
そもそもヘッドライトは夜間の視認性や被視認性を高める灯火類であり、前照灯以外に車幅灯(スモールランプ)やデイタイムランニングランプ、ウインカーランプなどが組み込まれたモジュール構造になっていることが多い。完全な「機能パーツ」であるが、その役割以上に大きな影響力をもつ。スタイリングを印象付けるキーアイテムなのである。
つまり、ヘッドライトが進化したことでクルマのスタイリングの自由度が高まって、空力性能や衝突安全性なども考慮しながら、より斬新かつ先進的なイメージのクルマが生み出せるようになったのだ。
ヘッドライトはクルマの売り上げを大きく左右する要素に
いまやヘッドライトはフロントマスクの構成要素として非常に重要なアイテムだ。かつてはヘッドライトデザインで失敗し、人気が低迷しマイナーチェンジでガラリと顔つきを変えた車種もある。
有名なのはホンダのインテグラだ。3代目として93年に登場した当初のモデルは、グリルレスにプロジェクターヘッドランプを埋め込んだだけのシンプルなフロントマスクが与えられた。
しかしプロジェクターヘッドランプにまだ馴染みがなく、いきなりグリルレスとされたことに抵抗感があったのか、日本では売れなかった。そこでマイナーチェンジで先代に近い横長の異形レンズとフロントグリル付きのフロントマスクに作り替えられたのだ。

