「トヨタのデザイン」が変わったきっかけは?
トヨタは2000年代に入るまで統一したデザインコンセプトを持っていなかった。どちらかと言えばそれまでのトヨタは、保守的なユーザーが好むような没個性的なデザインで、ともすればヤボったい印象すらあった。日産の方が尖ったデザインで精悍なイメージを与えるモデルが多かったように思う。
2000年代からは、先進国の自動車市場が成長期から成熟期へと入った。クルマは性能だけで選ばれる時代から、独創性やデザイン、質感など、所有する満足度の高さを様々な要素で評価される時代になった。燃費や加速性能、乗り心地だけでなく、故障率の低さやスタイリングなど、あらゆる要素が要求されるようになったのである。
それまで特出した個性を打ち出さなかったトヨタも、以降は印象的なデザインの必要性をより強く認識したと見える。そこで生み出されたデザインコンセプトがキーンルックであった。
これはV字型のフロントグリルと鋭いヘッドライトシェイプを組み合わせたもので、優しい印象のトヨタ車が精悍な印象となって新たな特徴を得ることに成功した。だがキーンルックは、1台1台が特徴的となっても「これぞトヨタブランド」という複数車種を横断して共通したイメージを与えるほどではなかった。さらに技術が進化してヘッドライトがより薄型化されると、キーンルックさえも盛り込むのが難しくなった。
そこでヘッドライトからスモールランプを分離(大型ヘッドランプ内に組み込んでいるモノもある)させ、大きくフロントマスク内を走らせることで印象的なものとするハンマーヘッドを編み出したのだ。
