一橋大学卒業後、出版社勤務を経て、2021年に漫画家デビューした鳥トマトさん。連載中の『二月に殺して桜に埋める』(白泉社)をはじめ、ポップな絵柄の中に、労働・家族・性差などのリアルを容赦なく織り込む筆致で注目を集めている。この8月には、漫画家と編集者の関係を描いた初の小説単行本『漫画でイけ』(文藝春秋)を上梓したばかりだ。
「意地悪さも能力のひとつ」「自分勝手でもいいから殴り返していくほうが好感が持てる」——そう言い切る鳥さんに、創作の原点などを聞いた。(全3回の3回目)
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――漫画家を主人公にした『漫画でイけ』は、小説の中に漫画が挿入され、実際に読めるという構成です。とても新しい読書体験でした。
鳥トマトさん(以下、鳥) ありがとうございます。でも実は、そんなに新しいことをやった意識はないんです。
子供の頃はあまりマンガを買ってもらえなかったので、図書館にある『学校の怪談』という怖い話を集めた本のシリーズを読んでいたんですが、それが小説と小説の間に短いマンガが挿入されている本だったんです。これがめちゃくちゃ怖くて……。
小学生で描いたマンガは…
――マンガに触れた原体験だったんですね。他にはどんな作品を読んで育ちましたか?
鳥 図書館にある『火の鳥』(手塚治虫)をずっと読んでいましたね。マンガを描き始めたのも、小学生くらいです。その頃から今と同じような作風で、「3歳下の妹と遊びに行ったら妹が泣いちゃって、帰らなきゃならなくなって姉は辛い」みたいなマンガを描いていて。
――日常で感じたことを描く子どもは珍しいかもしれません。中学に入ってからは家庭でもマンガ解禁に?
鳥 「少年ジャンプ」を教室で回し読みしていた世代ですね。『銀魂』(空知英秋)が大ブームの頃で、クラス全員“銀魂女子”。友達に『銀魂』の薄い本を渡されて、こういう世界もあるのかと知って……それからよしながふみ先生の作品を読んだり。

