「お母さん、この子はまたやりますよ」――。通学途中の電車内で盗撮に及び、鉄道警察署へ連行された高校1年生の少年。駆けつけた母親の前で警察官が告げた根拠は、スマホに残された数千枚もの盗撮データだった。

 中学時代のいじめから脱し、進学校に入学したはずの少年が、なぜそこまで深刻な盗撮にのめり込んでしまったのか? 診察室で明かされたのは、クラスの「1軍男子」に認められたい一心で一線を越えてしまった、過酷なスクールカーストの闇だった。

 西川口榎本クリニック副院長として様々な依存症治療と向き合ってきた斉藤章佳氏の新刊『校内盗撮』(集英社インターナショナル)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目)

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写真はイメージ ©getty

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元いじめられっ子がなぜ盗撮?

 さらにもうひとつ、高校1年生の男子・木村誠也さん(仮名)の事例を挙げます。

 誠也さんは中学生時代に深刻ないじめを受けていました。

 そんな過酷な環境から抜け出したい一心で猛勉強し、高校受験では晴れて共学の私立進学校に合格。

 過去の黒歴史を葬り、真新しい生活を始めようとしていました。

 そして高1の夏休みが明け、2学期が始まった頃には、クラス内に明確な「スクールカースト」ができ上がっていました。

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 スクールカーストとは、学校内における子どもたちのヒエラルキーです。

 スポーツの能力や容姿などにより、まるでインドのカースト制度のように各人が序列づけられる現象です。いわゆる「イケている」生徒が1軍と認定され、ひとたび最下層カーストに格付けられてしまったら、よほどのことがない限り、そこから脱することは難しい側面があります。