そしてもう一つ、いろいろ親身になってくれている今の先生に、「別の病院の先生に診てもらいたい」などとはとても悪いし言いづらい。そんな思いもありました。
しかし、私の病気が発見までに時間がかかるような難しい病気ならば、「別の先生の診断も仰ぎたい」というのが妻の意見でした。こういう時の妻の判断は正しいことが多いのです。
人気の先生に診てもらうため受付開始の30分前に病院へ
私はすぐに医療関係者に詳しい知人に連絡をとって「悪性リンパ腫専門のお医者さんを紹介してほしい」と頼みました。その時に取ったメモにはこう書かれていました。
都内の病院。血液内科優秀だが、教授が忙しい
治療は上手いが、直接担当になってくれないかも
何人か紹介していただいたのですが、メモにはこの先生のことしか書いていませんでした。
まず、今診てくださっている先生の所に行ってセカンドオピニオンの話をすると、すぐに快諾してくださいました。そしてこれまでの診察データをすべて先方に送ってくださると言うのです。セカンドオピニオンを受けるのがこんなにスムーズに進むとは思っていませんでした。
まあ考えてみれば今の時代、当然のことですよね。
ところが、セカンドオピニオンの医師を紹介してくださった知人から「笠井さんの受診をお願いしたら予約が取れるのは1か月後と言われてしまった」という連絡があったのです。
そんな! でも、それほど人気の先生ならなおさらお願いしたい! ただ、私の体は1か月も待てる状況にありませんでした。セカンドオピニオンを今すぐにでも受けたいのです。
するとその知人がある提案をしてくださいました。
「その病院は紹介がなくても並んだ患者さんはすべて診るという基本方針の病院です。予約は取れませんが、朝一番から並んで待っていれば夕方までの間には名前が呼ばれるはずです。それでもいいですか?」
当日、私は受付開始の30分前に行って並んだのでした。
……その4時間半後、私のセカンドオピニオンのための診察が始まりました。
会いたかった先生が目の前にいました。若干の緊張。「ちょっと難しいタイプの先生かもしれない」と瞬時に思ったのは、第一印象。今の症状や自分の仕事などを説明すると先生は小さな声で早口で、
「アナウンサーをされてるんですか?」
(ぐぐ)
ちょっとショック。
先生は私の診療データにざっと目を通して、(私ではなく)私の病状に興味を持ったようでした。
「では、明日の午前中に、骨髄検査をしましょう」
(骨髄!)
言いかけて言葉を飲み込みました。あの、太い注射で背中から神経を引っ張り出されるような検査をまたやるとは。
しかし、これは、先生が担当してくださるということでもありました。
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