1951年、山口県で斧で滅多打ちにされた夫と首を吊らされた妻の凄惨な遺体が見つかった。逮捕された男が罪を認めたにもかかわらず、なぜ事件は解決しなかったのか……。
日本犯罪史上でも異例の展開を見せた同事件の発端を、鉄人社の文庫新刊『戦後まもない日本で起きた30の怖い事件』より一部を抜粋・再編集してお届けする。(全2回の1回目)
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現場で見つかった夫婦の遺体
1951年1月25日朝、当時人口が4千800人程度だった山口県熊毛郡麻郷村(現・田布施町)八海で瓦製造業を営む早川惣兵衛さん(当時64歳)と妻ヒサさん(同64歳)が自宅で遺体となっているのを、訪ねてきた近所の住民が発見した。惣兵衛さんは現場に残されていた斧で滅多打ちにされており、辺りは血の海。
ヒサさんはなんと鴨居から首を吊った状態で見つかった。死亡推定時刻は前日24日の22~24時。一見、妻が夫を刺殺後、首吊り自殺を図ったかのように思えたが、現場の床が1枚だけ剥がされているのが判明。床下に這ったような足跡が残っており、さらにタンスから1万6千円余(現在の貨幣価値で約64万円)が奪われていたことから警察は夫婦間のトラブルを装った強盗殺人事件と断定。
2日後の26日、夫婦宅にあった焼酎の瓶から検出された指紋から、窃盗の前歴がある土木作業員の吉岡晃(同22歳)を逮捕する。
取り調べに吉岡は犯行を全面的に認め、次のとおり供述した。
