果たして全日程を終え、帰京した飯田も立ち会いのもと、レコーディングディレクターから発表された暫定的なパート割りでは、「モーニングコーヒー」でメインを務めるのは飯田で、安倍はコーラスに甘んじる結果となった。

一夜にして降ろされたメインボーカル

 しかし、その日の深夜、つんく♂がメンバーの帰ったレコーディングスタジオに現れると、メンバーが録ったすべてのテイクを聴き直し、一旦は決まったパート割りを一からやり直す。変更されたパート割りでは「モーニングコーヒー」のメインボーカルは安倍に替わり、飯田は裏メロに回されていた。

 こうしてパート割り変更後、候補曲3曲分のジャケット撮影やダンスリハーサルなどビジュアル面のチェックを経て、メジャーデビュー曲は「モーニングコーヒー」に決定する。

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メジャー1stシングルの「モーニングコーヒー」(1998年)。(左から)石黒彩、福田明日香、安倍なつみ、中澤裕子、飯田圭織

「テストなんて受けてる場合じゃなかった」

 飯田からすれば、一旦はメインに選ばれながらも、一夜にして降ろされたとあってショックは大きかった。パート割り変更を告げられたときには「テストなんて受けてる場合じゃなかった……」と涙ながらに後悔を口にしている。しかし、後年、次のように顧みている。

《凄くショックだったけど、その一方で、メジャーデビュー出来ることは嬉しいんです。だから、半分泣いているのに、半分笑っているみたいな、悲しさと嬉しさがごちゃまぜになったような、複雑な気持ちでした。でもやっぱりデビューはしたいので、気持ちを切り替えて、コーラス頑張ろうって思いましたね》(『モーニング娘。20周年記念オフィシャルブック』ワニブックス、2018年)

飯田圭織(2004年撮影) ©時事通信社

「モーニングコーヒー」は年が明けた1998年1月にリリースされ、オリコンのシングルチャートで初登場6位と健闘する。

 しかし、翌月に横浜アリーナで行われた発売記念イベントには期待したほど観客が集まらず、メンバーは落胆した。和田マネージャーからは「これが現実だ。ここを満員にできるようなビッグなアーティストになってみろ」と発破をかけられた。